次期教育課程の展望と計画 着実に準備を進めているか

平成28年度が始まり、今年度の教育課程が円滑に実施されていることであろう。一方で、次期教育課程に向けた準備や体制づくりは、着実に取り組まれているだろうか。従来であれば、新学習指導要領が告示され、移行期間に入ってから準備をすればよかったが、こと次期に向けては、それでは遅いと言わざるを得ない。

理由は3つ。第一は、昨年8月に、中教審教育課程企画特別部会が、それまでの審議経過を整理してまとめた論点整理である。この意図は、次期学習指導要領が教育課程の考え方や捉え方を大きく見直し、変えるからである。この論点整理は、次期教育課程に向けた基礎工事であるという言い方もされ、「社会に開かれた教育課程」「アクティブ・ラーニング」「カリキュラム・マネジメント」などが重視されている。これらをもとに、学校、教員も次期教育課程について議論することが期待されている。校種別、教科等別のワーキンググループで論点整理に基づき各論が議論され、その経過や概要等が発信されている。これらの情報を踏まえながら、次期教育課程への関心を高め、改訂の趣旨や内容の理解を深める必要がある。

第二に、前述の諮問や「論点整理」で取り上げられている「アクティブ・ラーニング」「カリキュラム・マネジメント」についての学校・教師の実態は、諸調査によれば必ずしも満足できる状況ではなく、むしろ不安な状況といえる。したがって、これらについて、早急に研修と実践の充実・深化が求められる。

第三には、昨年12月に中教審が「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の方策について」の3答申を出したことである。これらはいずれも、これからの学校や教員、さらには地域の在り方に関するものであり、今回の教育課程改訂と言わば一体となるものである。これらについて今後の国等の方策等を踏まえ、学校としての取り組み方について準備する必要がある。

こうした大きな改革ともいえる次期教育課程に向けた動きを正しく把握し、可能なところから準備と体制をつくっていくことが、管理職に求められる。なぜか。例を挙げる。鉄道工事での高架化や駅舎改築などでは、毎日、何万もの乗客を安全に輸送しながら、並行して工事を進めている。学校の場合も、教育課程全面改訂に向けた移行期間、毎日通う子どもに授業を行いながら並行して新教育課程の研究と編成を行う。

しかし、鉄道は運行する人と列車を走らせる人は別である。その点、学校では現行の教育課程の実施と次期教育課程の研究と編成は、同じ教員が行うのであり、それだけ負担が加重となる。可能な限り準備を早く進めて体制を整え、あわてずに見通しをもって新教育課程の編成に当たれるようにすることが重要だ。この1年は、重要な準備期間となるのである。

新教育課程の編成は、いわば10年に一度の学校改革の計画づくりである。論点整理、中教審の各答申、各部会やワーキンググループ等の審議や議論や報告やまとめなどをもとに、これからの教育の目的や方向、内容の理解を確実に進めることがその前提である。校長等の管理職は、次期教育課程を核にする学校改革に向けて展望と計画を立てて示し、今から、教員が見通しをもって取り組めるようリードしてもらいたい。

関連記事