副校長・教頭の職務 能力獲得のための自己修養を

先日、国立教育政策研究所から出された「副校長・教頭の職務状況に関する調査研究報告書」は、中教審が昨年12月に公表した答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」における副校長・教頭の存在意義に対し、その実態を検証する意味で大変興味ある内容である。同報告書の「調査研究の目的」にもそのことが触れられており、この調査結果は同答申案が将来、具現化されるための根拠資料となることが期待されている。

研究成果の概要は、まず「副校長・教頭による学校運営事務・業務への関与」については、学校規模が大きく事務体制が確立している高校や特別支援学校は関与が少ないが、小・中学校はあらゆる業務に関与しており、文書の収受や緊急メール送信などの総務管理や業者対応、苦情処理などの渉外のほか、施設管理全般にわたっている。同報告書は、「副校長・教頭がより職員指導に力を注げるよう体制の整備を図る上でこれらの業務の再配分の有効性が示唆された」と指摘している。それは、「副校長・教頭の習得している資質・能力と個人特性及び学校組織・運営体制の特性との関連性」の調査項目において、「職員指導力」に対する彼らの自己評価の数値が最も低いという結果にも反映している。

次に、「職に関する満足度と個人特性及び学校組織・運営体制の特性との関連性」について、自分の仕事だけに固執せず積極的に業務を担当したり、校長の経営方針を理解・協力したり、あるいは教育行政採用である学校事務職員が配置されたりしている学校の副校長・教頭の満足度は高い数値が示された。このことについて同報告書は、「学校事務職員の役割の見直しや学校事務職員との連携体制の構築、任用形態の工夫が満足度を向上させる」としている。

また、副校長・教頭が必要と考えている職務は、「危機管理能力」「校長の方針を理解する力」「管理職としての自覚・使命感」「校長の考えを職員に伝える力」「教育に関する信念や理念」であるが、もう一つの調査項目である「大学院での学習に対する期待」で自己の資質・能力向上のために最も必要なこととして「教育法規に関する知識」「経営ビジョンを構想する力」「国、地方の教育施策に関する知識」などとあわせて見ると、副校長・教頭が学校の状況を構造的、概念的に理解し、大局的に判断する概念化スキルの習得を求めていることが明らかとなった。

これまでも、副校長・教頭の業務の多忙さは各種の調査で明らかになっており、主幹教諭の配置など各都道府県等でもその対策は検討されてきたが、最後は教職員の定数改善と同様、人件費の抑制という財政上のカベがそれを阻止し、成果が十分上がらない状況が続いてきた。そこで文科省は、一昨年度から戦略を転換し、教職員定数の根拠法令となっている義務標準法の改正や教職員以外の人員増加を図る「チーム学校」の実現に向けた答申づくりに着手している。義務標準法の改正については、財務省も歩み寄りを見せているようだが、今後は「チーム学校」の実現が注目される。

今後、学校内に教職員以外の専門職をはじめあらゆる職種・経歴の人材が配置された場合、組織機能を活性化するには、連絡・調整役のコーディネーターの存在が組織のカギを握る。また、本来の職員指導にも大きな期待がかけられる。条件整備が進む中でこれからの副校長・教頭には、そうした自覚と能力獲得のための自己修養がより一層求められるであろう。

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