教員育成指標 具体性・実効性の高い開発を

昨年12月の中教審答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」では、教員育成指標の策定が提言された。この育成指標は、昨年5月にまとめられた教育再生実行会議で提言された内容をさらに具体化したものといえる。

教育再生実行会議ではこれについて「教師がキャリアステージに応じて標準的に修得することが求められる能力の明確化を図る育成指標」とされていた。答申ではこの趣旨と同時に、「現場の教員が研修を受けることで自然と目安となるような指標とする」「各地域の実情に応じて策定される」「必要に応じ学校種ごとに策定する」、国が大綱的基準を示すことが明確にされた。

これらの内容を受け、今年度の文科省予算で「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上」として、「教員育成指標、研修指針、教職教育モデルコアカリキュラムの策定」や教委等における「教員育成指標等の整備」その他が設けられている。

今年度は、国の大綱的基準と各都道府県での、策定作業が開始されるが、実効性のある育成指標としていくためには、どのような留意点があるだろうか。

育成指標作成に当たっては、まず指標となる資質能力の範囲と区分を設ける必要がある。資質、能力、態度の全てを含むのかどうかといった範囲設定を行い、次にそれぞれをさらに区分する。例えば「教育への熱意」「豊かな人間性」等は教員の資質として不可欠だが、それを育成すべき指標としてどう位置付けるのかが問われる。

次に、能力でいえば、児童生徒理解や学習指導、生徒指導、マネジメント等の区分が挙げられるが、これらをさらにどのように区分して設定するのかが課題になる。さらに態度では「使命感」「責任感」等が該当する。

これらの資質能力をマトリックスの1つの軸として置き、もう1つはキャリアステージを設定することが想定される。縦軸と横軸が交差するセルに個別の指標が記載されることになる。

今後の課題は、これら個々の指標をどのように導くかということと、それらを活用可能な形にするにはどうしたらよいかという点である。個々の指標をどの程度の具体性をもって示すのかも重要である。

一般にこれらのモデルとなる指標作りには、帰納的道筋と演繹的道筋が想定される。帰納的道筋とは、実際の学習指導の場面を想定し、そこでの授業の実際の姿や振る舞いから抽象化し、指標作りに至る方法である。演繹的道筋とは、暫定的に設定した指標を具体化して適用し、実際の教育指導の姿を導く方法である。これらの両方の道筋を経て作成されていないと、おそらく目安にとどまる可能性がある。

また、ステージに応じて段階を追って設定することも、実際にはなかなか難しい作業である。単に用語を追加するだけでは、指標としての実効性が高まらない。やはり指標の元となるさまざまな教員の姿、指導の姿を描き、それらを適切な用語で示していくことになる。

一方、育成指標と研修指針および研修計画を連動させるためには、ステージごとの指標とその達成方策との適合性がとれることが必要である。ステージで示した個々の指標の集合が、その時期の教員の目指す姿を示すことになる。

多くの教委、教育センターには既に関係する知見や取り組みの経験と蓄積がある。それらを生かしながら、真に実効性のある育成指標が開発されるのを期待したい。

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