地震への安全対策 学校、地域の役割分担の明確化も

4月14日から熊本・大分両県を中心に発生した一連の地震(最大マグネチュード7・3)は、たいへん大きな人的、物的被害をもたらした。その深刻さの度合いは、増すばかりだ。生活に直結する電気やガス、水道といったライフラインがストップするなど、被災者は、想像を絶する不便な生活を強いられている。

そこで心配になってくるのは、子どもたちの安否である。「学校での安全教育がうまくいっていればいいのだが…」と祈るばかりで見守っていた先生方も多いことだろう。子どもたちの被害状況に関する詳細なデータは不明だが、いずれ解明されることを強く望みたい。

現在、政府は、「自他の生命を尊重し、安全を最優先する気風が育つ取り組みがすべての学校で行われていることが重要だ」とした上で、学校保健安全法に基づき、平成24年4月に「学校安全の推進に関する計画」を閣議決定している。

現行計画は、平成24年度から28年度までの5年間、国と地方公共団体が連携を図り、各学校で安全教育が効果的に実施されるための指針として策定されたもの。その結果、「防災教育の重要性の認識が高まり、先進的な取り組みが進められた地域や学校がある一方、いまだ十分とはいえない地域や学校もみられる」「現行計画策定以降、安全に関する新たな課題も生じており、策定から5年が経過するに当たり、これまでの状況を踏まえた計画の見直しが必要」としている。

以上のような現状認識を踏まえ、馳浩文科相は4月18日、中教審に「第2次学校安全の推進に関する計画の策定について」諮問した。

具体的な審議事項については、「災害安全のみならず、防犯を含めた生活安全、交通安全の三領域を網羅した安全教育」の効果的な実施を求めているが、最優先課題として、地震への安全対策を追加しているのが注目される。

ここでは、「特に、甚大な被害をもたらした東日本大震災から5年が経過し、時間の経過とともに震災の記憶が風化し、取り組みの優先順位が低下することが危惧されている。また、今後発生が懸念されている首都直下地震や南海トラフ巨大地震などに対して、児童生徒などの命を守るための対策が喫緊の課題とされている。その際、災害時に学校が避難場所になった場合の学校や教職員と関係機関・団体や地域の人々との役割分担・連携などについては、日頃から共通理解が形成されることが大切だ」と指摘している。

この中教審への安全対策の諮問は、今回の熊本・大分大地震の発生を全く予知できなかったほど、突発的な事態だったわけで、地震の安全対策の難しさを露呈した感じだ。

また諮問では、安全教育全体を貫く考え方として、「児童生徒などが自らの命を守り抜くために必要な資質・能力を身に付けることや各学校において安全に関して教科横断的な視点を踏まえて教育課程を編成し、学校内外の様々な人的・物的資源を効果的に組み合わせて教育活動を行い、その状況を評価し、改善を図っていくカリキュラム・マネジメントの実現の重要性が指摘されており、こうした議論を踏まえた安全教育の在り方についての検討が必要になってくる」と述べている。

中教審は、この諮問を集中的に論議し、1日も早い答申に漕ぎ着ける努力を重ねてほしいものである。

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