子どもの自己肯定感 家庭、学校教育の場で育成を

子どもの自己肯定感や道徳心など、豊かな心を育むためには、子どもへの関わりやしつけを通じて、生活体験やお手伝いといった日々の体験を充実させ、規則正しい生活習慣を身につけさせるのが大切だ――。(独)国立青少年教育振興機構(明石要一センター長)が5月2日に発表した「平成26年度青少年の体験活動等に関する実態調査」で明らかにされた。

この調査は、同振興機構がわが国の青少年の体験活動などの現状を把握するため、平成18年度から自然体験や生活体験などの実施状況や日々の生活習慣の実態、自立に関する意識などについて全国規模で実施。26年度調査では、青少年の体験活動や生活習慣などの現状や経年変化に加え、家庭でのしつけや子どもにかける教育費(学校外)、携帯電話・スマホの利用状況などに注目し、青少年の体験活動や意識などとの関係について分析している。

調査はほぼ2年に一度実施されており、26年度調査は昨年2月から3月にかけて行われ、小・中・高校生約1万8千人と保護者約1万5千人が回答した。この中で「自分が好きだ」とか「自分には自分らしさがある」といった6項目から子どもたちの自己肯定感を調べたところ、自己肯定感が「高い」「やや高い」に該当する子どもは合わせて48%、「ふつう」は28%、「低い」「やや低い」は合わせて24%だった。

自己肯定感が高い傾向の子どもの割合は調査のたびに増えていて、20年度と比べると、11ポイントも高くなっている。

初めて分析した家庭の教育費やしつけとの関係については、学校以外の教育費の支出が「全くない」と答えた家庭では、自己肯定感が高い傾向の子どもは41%だったのに対し、教育費が月に「5万円以上」の家庭では73%だった。さらに、早寝早起きやあいさつなどのしつけを熱心にしていると答えた家庭ほど、子どもの自己肯定感は高くなる傾向にあった。

その「自己肯定感」の定義づけは難しいが、「自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉」と辞典は説明している。国立教育政策研究所は「自尊感情(Self Esteem)、自己存在感、自己効力感などの言葉とほぼ同じ意味合いで使われている」としている。

自己肯定感を実現するに当たっては、子どもの徳育に関する懇談会が、「子どもの徳育の充実に向けた在り方について」と題する報告(21年)の中で、「小学校高学年の時期に、重視すべき発達課題の一つとして、自己肯定感の育成があげられている」と指摘している。 

日本の子どもたちの自己肯定感の低さは、国際比較調査をみても歴然としている。内閣府が日本を含めた7カ国の満13歳から29歳までの若者を対象とした意識調査(25年度)をみると、日本の若者は、諸外国に比べて自己を肯定的に捉えている割合が低かった。例えば、「自分自身に満足している」「自分には長所がある」「うまくいくかどうかわからないことにも意欲的に取り組む」のいずれの項目も最下位だった。

同振興機構が明らかにしたこのたびの調査結果は、子どもたちの自己肯定感を高めるには、「規則正しい生活習慣を身に付けさせる」「家のお手伝いをさせる」といった至極当然な結論を得たわけだ。そこには、とりたてて特別な手法で自己肯定感を高めようといった視点はない。家庭はもとより、学校教育の場で意識的に取り扱うなど、地道に取り組む努力が必要ではないか。

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