創造型の教育像を提示 福島県立ふたば未来学園高校

次期学習指導要領の改訂作業を進めている中教審教育課程部会は現在、学校段階等別・教科等別の審議を進めている。5月9日に開かれた高等学校部会(荒瀬克己主査)の第2回会合では、同部会での検討事項について審議した。

昨年8月に教育課程企画部会が示した「論点整理」を踏まえ、一人ひとりの生徒が義務教育を基盤として、(1)十分な知識・技能(2)それらを基盤にして答えのない問題に自ら答えを見いだしていく思考力・判断力・表現力など(3)これらの基になる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度とを身に付けていくことができるよう――教育課程の在り方などについて「共通性の確保」と「多様性への対応」の観点を軸として検討する。具体的には、(1)高校教育を通じて育成すべき資質・能力(2)カリキュラム・マネジメント(3)アクティブ・ラーニングの視点を生かした学習・指導の改善(4)学習評価の在り方――について審議していく予定だ。

この日の会合で、そのモデル的な高校の実践例として福島県立ふたば未来学園高校(丹野純一校長、平成27年度入学生152人)の、次期学習指導要領を先取りした「未来創造型教育」の実践が報告され、注目を集めた。

同校は、福島第一原発事故(平成23年3月)によって、一時は全町村に避難指示などが出された地元双葉郡の教育長が中心となり、県・国・大学などと協議し、県立中高一貫校の設置を柱とする「福島県双葉郡教育復興ビジョン」を決定したのを背景に、昨年4月に開校した。

特に、震災と原発事故という、人類が経験したことのないような過酷な災害によって、解決困難な課題に直面した現実を踏まえ、建学の精神を「変革者たれ」とし、「解のない課題」を乗り越える力を身に付けるのを目指して、徹底的なアクティブ・ラーニングをカリキュラムの中核に位置付けているのが特色だ。

また総合学科として、主に大学進学に対応した科目を選択する「アカデミック系列」、農業、商業、福祉に関する科目を選択する「スペシャリスト系列」、スポーツ科目を選択する「トップアスリート系列」を設置している。

現在は、連携型中高一貫校として、双葉郡8町村の全中学校と連携しており、平成31年度には併設中学校を開校する予定だ。具体的な活動では、「地域の復興の課題を見つめる」を重視し、1学年前期の探究の単元で、生徒が7人グループに分かれ、町役場、商店、東京電力などを訪ね、地域の現状を調査し、復興に向けて地域が抱えている課題を分析、演劇で表現している。

1学年の代表が夏季休業中にチェルノブイリ原発事故の被害を受けたベラルーシを訪問し、自作の演劇を演じるなど、世界への発信にも努めている。
特に、総合的な学習の時間におけるアクティブ・ラーニングと各教科のつながりを意図的に生み出すことで、各教科の学習も表面的な知識や技能の習得にとどまらない、より深い学習を期待している。

今後の課題は、「全教員で意識を統一するルーブリック(人材育成要件)の設定を起点にしつつ、総合学習を軸としたカリキュラム・マネジメントを土台として学校全体で取り組むこと」と強調する。

震災と原発事故という災いを転じて福となす関係者の英知と努力に敬意を払いつつ、この一連の教育改革の成功を強く念じたい。

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