次期学習指導要領 教育諸条件を視野に入れた改訂を

次期学習指導要領の改訂に向けた審議が進み、その輪郭が少しずつ見えつつある。今年度中には中教審答申としてまとめられ、教育課程の理念と枠組み・構造が明確にされる。次期教育課程は、育成すべき資質能力の3つの柱を軸に、各教科等が有機的な関連を持って目指す資質や能力の育成を志向する姿になるものと予想される。また目指す学力を達成するための教育方法としてアクティブ・ラーニング、教育課程を資質能力の達成に向けて統合していくためのカリキュラム・マネジメントが、重要なファクターになる。

このように次期改訂は、教育課程の構造改革を目指すものとなりつつあるが、新課程への円滑な移行と定着を促すためには、いくつかの留意点があると考える。

これまでの学習指導要領の改訂から学ぶことは、ともすれば新しい用語が先行し、事後的に教育実践の模索がなされるといった事態をどうするかという点である。例えば、平成20・21年改訂に至る過程で、習得、活用、探究の用語を用いて教育課程の構造化が語られた。一方、この「活用」は学習指導要領の総則には、基礎的・基本的な知識・技能と思考力・判断力・表現力等をつなぐキーワードとして設定されている。ここで「活用」とは必ずしも能力とは捉えられていない。全国学力・学習状況調査で用いられている「主として『活用』に関する問題」の「活用」も含めると、「活用」の指し示す意味には幅がある。

また改訂の特色として示された「言語活動の充実」についても、当初は、中教審答申における関連記述と、この記述を手掛かりにした総則の解説によって指導計画を作成するしか、手立てがないのが実情であった。また「言語活動の充実」について、学習指導要領の第2章以降で、総則の記述を受けた具体的な事項や取り扱いが十分には明示されていなかった事情もある。

これらの事情も踏まえ、今後の展開に期待したい第一は、改訂作業の過程で、実際の教育課程の実施や指導計画の作成がどのような姿となるのか、試案を作成しながら作業を進めることである。新しい用語とその趣旨、輪郭を示し、その後は各学校の取り組みにゆだねる方法では、教育実践にとまどいが生じ、教育効果の測定もあいまいになる危険がある。特にアクティブ・ラーニングについては、その具体的なメルクマールを指導計画および教育実践、学習評価のレベルで示さないと、おそらく拡散的な取り組みもに終始する可能性がある。「深い学び」も同様である。

第二は、現行課程との連続性と改訂事項との関係についてである。特に現行課程に基づく教育実践のどこが今後とも有効で、どこに課題があるから改訂するのか、全国の教員に理解され納得されることが大切である。特に各教科等の内容の見直しや高校の新科目設置については、これまでの科目の課題についても明らかにすることが、担当教員の理解を促すためにも大切だ。

第三は、教育環境や諸条件との関連である。小規模の小・中学校では、例えば「協働的」学習をどのように進めるのか。また規模の小さな学校では指導の具体化のための体制にも一定の限度がある。さらに、改訂の趣旨を周知するためには教育委員会の役割も大きい。自治体の規模によって、教育委員会による研修内容、手引等の資料の提供に違いが出てくることも想定される。

改訂作業では、さまざまな環境、諸条件を視野に収めた周到で行き届いた取り組みを期待したい。

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