高校の特別支援教育 小中との連続性ある支援を

平成19年4月、学校教育法が改正され、高校でも小・中学校と同様に、障害のある生徒への特別支援教育が実施された。これまでの経緯を振り返りながら「高校の特別支援教育」の充実方策を考えたい。

学校教育法第81条には、幼・小・中・高校の幼児児童生徒に対し、「文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする」と明記されている。しかし、高校における特別支援教育は、小・中学校と比べて、体制の整備が大きく遅れており、多くの課題がある。

小・中学校には、発達障害(LD、ADHD、高機能自閉症など)の可能性のある児童生徒が6.5%在籍している(24年に文部省が実施した抽出調査)。また21年3月時点の発達障害等学習が困難な生徒の中学校卒業における進路に関する分析によると、調査対象の中学校3年生のうち、発達障害等のある生徒の割合は2.9%で、そのうち75.7%が高校に進学したと考えられる。高校に進学する発達障害等の学習が困難なこれらの生徒の高校進学者全体に占める割合は、2.9%。

一方、21年8月27日に、文科省の特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議高等学校ワーキンググループの報告によると、小・中学校に比べて高校の体制整備の遅れが目立っている。

特に、通級による指導については、「将来の制度化を視野に入れ、まず現行制度の中で、教育課程の弾力的な運用や指導の工夫により、各地域・学校の実態、ニーズに即し、通級による指導に類した種々の実践を進める必要がある。その上で、制度化については、特別の教育課程編成や教員定数の在り方などについての検討を併せ行うことが必要である」としている。

通級による指導は、平成5年から、小・中学校で制度化されたものである。小・中学校等の通常の学級に在籍する障害のある子どもが、ほとんどの授業を通常の学級で受けながら、週に1~8単位時間(LD、ADHDは月に1~8単位時間)までを標準として、障害に応じた特別な指導を特別な場(通級指導教室)で受ける指導形態である。

その後、24年7月、中教審初中教育分科会の「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」(報告)で、高校で自立活動などの指導を可能とするような検討の必要性が指摘された。

さらに文科省は、26年に「高等学校における個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育モデル事業」を開始し、障害に応じた特別な指導について、高校において実施研究を進めてきた。

これらの経緯を踏まえて、昨年11月から高校における特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議が開催され、今年3月31日に「高等学校における通級による指導の制度化及び充実方策について」(報告)が発表された。

この内容は、高校でも小・中学校などと同様に実施し、教育課程の編成、単位による履修・修得、卒業認定制度、必履修教科・科目等、全日制・定時制および通信制など、高校における教育の特徴を十分に踏まえて設計する必要があるとしている。

今後、国は、必要な教員定数の加配措置、専門性のある教員確保、実施形態(自校か他校か)などを検討し、小・中・高校の連続性のある教育支援がなされることが望まれる。

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