防災教育の充実へ チーム学校視点にAL、CM

「我々は、今、阪神・淡路大震災後の時代を生きている。新潟県中越地震を経て、東日本大震災から5年後、熊本地震が起こった。南海トラフ地震を含め、今後も大きな地震が、いつどこで起きても不思議ではない時代であることを改めて認識しなければならない」

6月5日に「くまもと復旧・復興有識者会議」(五百旗頭いおきべ真座長)がまとめた「創造的復興へ向けての提言」の骨子の前提となる認識として、同会議メンバーの御厨みくりや貴氏が6月12日の読売新聞に紹介した言葉である。折しも6月10日に政府の地震調査委が、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布を示す今年版「全国地震動予測地図」を公表。それによれば、発生確率0%の地域はなく、どこでも大地震が起こる恐れがある。

平成7年の阪神・淡路大震災、16年の中越地震、23年の東日本大震災、今年の熊本震災と、間隔は9年、7年、5年と縮まっている。次のXデーを不安視する声も聞こえる。地震の報道は毎日のようにテレビのテロップに出てくる。津波、噴火、大雨・洪水、竜巻等々、自然災害が日常的に全国のどこかで起きている時代である。

こうした実態や状況を考えると、改めて学校の防災教育の重要性が浮かび上がってくる。阪神・淡路大震災以来その重要性が言われてきた。東日本大震災でこれに取り組み、認識と実践を充実させてきた学校・地域の成果が図らずしも浮き彫りにされた。防災教育の教科化には躊躇の声が多いが、わが国が災害列島である認識を深め、学校の耐震化とともに防災教育が重要であると確認され、各学校では、それぞれの地域の実態に即して取り組んできた。

そこで、今年版「全国地震動予測地図」が公表されたのを機に、改めて各学校の防災教育の見直しに取り組んでみる必要があるのではないか。その際、次期教育課程のキーワードであるカリキュラム・マネジメント(C・M)、アクティブ・ラーニング(A・L)、チーム学校への質的転換を視点にしてみたらどうであろうか。

文科省が25年3月に刊行した『学校防災のための参考資料「生きる力」を育む防災教育の展開』では、「『生きる力』をはぐくむ防災教育の展開」として「防災教育・防災管理・組織活動」の3視点を示している。「防災教育」は、各教科等での防災に関わる知識・技能を身に付け、思考力・判断力を働かせ、防災について適切な意思決定ができるようにする「防災学習」と、防災に関して安全の保持増進に関する実践的な態度や望ましい習慣の形成を目指す「防災指導」、これらをつなぐ道徳教育で構成されている。「防災管理」は、心身の安全、生活や行動の安全に関する「対人管理」と、学校環境の安全を担う「対物管理」で構成されている。「組織活動」は校内の協力体制、家庭および地域社会との連携で構成している。

一覧して分かるように、防災教育は、全体計画の作成、それに基づく各教科等を横断的に学習する指導計画の作成、思考力・判断力を働かせた意思決定、実践的な態度の育成、校内外の指導や組織的な活動の体制づくりなど、これらを全て関連させ機動させる必要がある。これはC・M、A・L、チーム学校の機能そのものである。学校は間もなく夏季休業に入る。この機会に、こうした視点から防災教育を見直し、改めて防災教育の重要性と教職員のC・MやA・Lやチーム学校への認識を一体的に深め、9月以降の実践につなげたい。

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