学習指導要領総則の改善 教育課程編成への影響考慮して

次期学習指導要領の改訂に向けた審議が進み、全体的な姿が見えつつある。今年中には中教審答申としてまとめられ、教育課程の基準の新しい構造的な枠組みが明らかになる。育成すべき資質・能力の三つの柱を軸に、各教科等が有機的な関連を持って目指す資質や能力の育成を目指す仕組みが構想されている。その趣旨を各学校の教育課程編成に具体化する際には、まず学習指導要領の総則が重要な役割を持つ。

これまでの総則の骨子は、次の4点に置かれてきた。第1は各学校が編成する教育課程の一般方針を示した部分。第2は教育課程の基準性に関わる内容の取り扱いに関連する事項。第3は授業時数等に関して。第4は指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項。各学校ではこれらを、教育課程編成のねらいに明示したり、年間授業時数の設定や時間割作成の際に参照したりしてきた。ただ、第4の事項は、教育課程のどの部分で具体化するかなどの点は必ずしも明確にされてきたわけではない。必要な事項をやや羅列して示してきた経緯がある。

次期学習指導要領では、総則の姿や構成は、どのように改善されるのであろうか。6月の中教審教育課程部会で配布された資料によると、大幅な見直しと構造化が図られつつあるのがうかがえる。

全体がこれまでの4部構成から次の6部構成となっている。(1)学校種ごとの教育の基本(2)次にその学校種を前提にした教育課程の編成(3)教育課程の実施と学習の評価(4)個々の児童の発達を踏まえた指導、特別な配慮を必要とする児童生徒への指導(5)学習活動充実のための基盤(6)道徳教育推進上の配慮事項――である。

カリキュラム・マネジメントは(1)に、学校段階の接続や横断的に育成すべき資質・能力と教科等間の関係は(2)に位置付けられている。特に、この学校段階の接続や横断的に育成すべき資質・能力と教科等間の関係の事項は、これまでの総則にはなかった。学校体系全体を見通すと同時に、教科等を横に関連付けるのを促すものとして意義深い。さらに最終的に残るかどうかは不明だが、「別表」として「各教科等の見方・考え方」の「一覧」が示されることも注目される。この「一覧」で示される「見方・考え方」は、各教科等間の横の関連や縦の系統性、学校段階間の接続を検討する際にも有益な内容といえる。

以上のような総則の改善は、これまでになかった画期的な構成と内容になっている。一言でいうと、小・中・高校という縦の関係と、編成と実施の関連、評価とマネジメント、個に応じた指導等を構造的に配置していることが特色である。また教育課程の編成・実施における必要事項を網羅した構成となっている点も特色といえる。

ただ、一方で、仮に各学校が教育課程を編成する際に、ここで示された事項すべてについて明示化することが義務付けられると、当初はかなりの負担になることも予想される。教育課程の構造的編成が求められる場合、その具体的な作業が明確でないと、具体化しにくいという課題がある。例えば、学校で目標とする資質・能力を設定し、教科横断的な視点で教育課程を編成することがカリキュラム・マネジメントの一つとして示されているが、学校の実際に即した場合、どのような編成の作業をすればよいのかが具体的に分かることが必要である。

総則が、構造的に精緻になることが、各学校の教育課程編成でどのように受け止められ、どのように用いられるのか。この点を踏まえ、さらなる点検を期待したい。

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