居心地のいい学校 不登校問題解決のカギに

「学校は、『全ての児童生徒にとって居心地のいい学校』になるという観点から、『全ての児童生徒が自己の能力を発揮でき、楽しく通えるような学校教育』が目指されるべきだと考えられる」

これは、文科省の不登校に関する調査研究協力者会議(森田洋司主査)が6月29日に開いた第14回会議で発表した「不登校児童生徒への支援に関する最終報告(案)~一人一人の多様な課題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進~」の「はじめに」の冒頭だ。

最終報告案で、あえて「学校は……」と書き出したのは、「不登校問題」を単に対処療法的に取り上げるのではなく、学校の在り方そのものから問い直そうとの強い意図が働いたからであろう。特に、そのためのキーワードとして「居心地のいい学校」の実現を掲げたのは、これが「全ての児童生徒」に享受されて初めて、不登校問題も解決できるという認識からである。

だが、現実は甘くない。最終報告案でも「不登校児童生徒数が依然として高水準で推移していることから、必ずしも学校が全ての児童生徒にとって、居心地のいい場所になっていない」とした上で、「不登校児童生徒に対する支援の目標は、児童生徒が社会的に自立することである。そのためには、社会性の育成、生涯を通じた学びの基礎となる学力の育成が必要であり、学校、特に、義務教育段階の学校が果たす役割は大きい」とし、学校教育関係者の奮起を促している。

その上で、不登校問題における「学校教育の責務」として、次のように提案する。

▽不登校対応の最終的な目標である児童生徒の社会的な自立を目指す上で、対人関係に係る能力や集団における社会性の育成などの「社会への橋渡し」を図るとともに、学びへの意欲や学ぶ習慣を含む生涯を通じた学びの基礎となる力を育てる「学習支援」の視点が重要である。

▽そのような「社会への橋渡し」や「学習支援」の視点から、特に、義務教育段階の学校は、各個人の有する能力を伸ばしつつ、社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家・社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的としており、その役割は極めて大きい。

▽従って、学校・教育関係者は、全ての児童生徒が学校に自己を発揮できる場があると感じ、自分と異なる多様な特性を受容し合えるような集団づくりを通して、楽しく安心して通うことができるよう、学校教育の一層の充実のための取り組みを展開していくことが重要である。同時に、児童生徒の不登校のきっかけとなった問題には、学校に起因するものも多くあることを真摯に受け止め、その解消に向けて最大限の努力をすることが必要である。

最終報告案では、「学校責任論」だけに比重を置いた提言をしているわけではない。学校が最後のよりどころとしながらも、保護者や地域をはじめ、教委、教育支援センター、児相、警察など全ての関係機関の協力・支援を求めている点に変わりはない。

「児童生徒の可能性を信じ、一人一人の能力・適正、興味・関心等に応じた柔軟な教育を施し、長い目で児童生徒を支え見守ることが大切である。また、保護者の方々におかれても、一人で悩まずに、学校とともに協働して児童生徒を育むという意識をもっていただきたい」

最終報告案の「おわりに」は、こうして結ばれている。学校と保護者、関係機関の「協働」に期待するところ大である。

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