初任者研修の抜本的改革 徳島県教委の「全員参加型」に注目

「初任者を受け入れた学校において校内研修の実施体制が確立していない例や、管理職や指導教員の指導の不足等により、校内研修が十分に実施されていない例がある」。かつて文科省が、初任者研修制度の運用上の問題点の1つとして指摘した一文である。

その現状認識は今でも変わらないが、初任者研修システムを抜本的に改革しようとの動きが地方教委から出され、注目されている。それは、学校の活性化と組織力の向上につながる「全員参加型の初任者研修システム」(徳島システム)を導入している徳島県教委の取り組みである。

8月1日、同省が全国の教育関係者を対象に都内で開いた「教師力向上フォーラム」で、「総合的な教師力向上のための調査事業~初任者研修の抜本的改革」と題して、担当者から発表されたもの。従来の初任者研修の在り方を大きく変える手法として注目された。

同県教委が、全員参加型のこの研修システム開発に際して認識していたのは「学校全体で初任者を指導する体制が十分に整備されていない」「相談できる相手が少なかったり、孤立感を持ったりする初任者もいる」という課題だった。

このような認識を踏まえ、平成27年度から研究に着手。その目的は、(1)学校全体で指導する体制および相談体制の整備の在り方を明らかにする(2)初任者の実態に即した研修の充実を図る――ことで、その実現のために「調査研究事業連絡協議会・検討会議」を設置した。

この研究体制は、県教委教職員課が窓口となり、鳴門教育大学、徳島県総合教育センター教職員研修課、市町村教委が連携しながら、調査研究校(小学校4校、中学校2校)の指導体制・組織体制の構築、校内研修プログラムの実施、調査研究の成果と課題の整理、実施報告書の作成などで助言を受けるシステム。

研究に当たって重視したのは、まず、初任者を学級担任と副担任とに分けて対応したことだ。

臨時教員の経験がある学級担任は「実践・検証が容易」「責任感大」「児童理解、保護者対応、学級経営など総合的に力量が向上」するが、「時間的・精神的なゆとりがない」「学級経営、保護者対応などでつまづく可能性がある」などの特質がある。これに対し、臨時教員の経験のない副担任は「時間的・精神的なゆとり」「観察を通しての学びが可能」であるが、「責任感・切実感が希薄」「担任としての見えない苦労が捉えられない」などの特質がある。

その認識に立って、研究では「初任者指導のインセンティブ(組織、人に対して行動を促す動機付け)が働くための工夫」として、ニーズの調査(アンケート)、サポートの調査(エントリーシート)、優れた実践(自己完結型)などを共有し、最終的には「お互いの良さ、頑張りを認め合う」ことを目指している。

「初任者の精神的な孤立化防止システム」を取り入れたのも大きな特色。このシステムは、「バディ制」(相談しやすい相手を決める)、「ピア・サポート」(若手教員の会)、「OJT型研修」(組織の学びの場)を通して、「本音を言い合える」「年齢差を乗り越える」「心理的サポート体制の構築」などにつながるという。

同県教委の取り組みの一端を記したが、初任者への指導・支援が学校全体の指導力の向上につながるというこのシステムが成功し、全国の模範となるのを期待したい。

関連記事