人材確保で積極的な対策を 部活動の今後の対応

8月1日に文科省から「次期学習指導要領に向けた審議のまとめ(案)」が発表された。この中で、「中学校」の項目では「カリキュラム・マネジメント」と「部活動」の2点について触れられている。教育課程外の活動である部活動の記述にこれだけのスペースが割かれて、現在の中学校にとって部活動が大きな教育課題であり、難しい問題であることを印象付けた。

「まとめ(案)」では、部活動の運営の在り方と部活動における「深い学び」の指導との関連が主に述べられているが、気になるのは、いずれも教員以外の指導者の確保が前提として述べられている点だ。

「まとめ(案)」では、教員以外の指導者として「地域の人々」「社会教育関係団体等」とある。このほかにも、「まとめ(案)」に先立ってこの問題について協議した中教審答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(平成27年12月)では、「部活動指導員(仮称)」の提案がなされた。

これを受ける形で文科省内で組織された「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」がまとめた「学校現場における業務の適正化に向けて」(平成28年6月)では、この「部活動指導員(仮称)」について、「地域のスポーツ指導者」「引退したトップアスリート」「退職教員」「運動部に所属している大学生」が例示されている。またこの報告によれば、こうした人々を雇用するための予算や研修体制についても検討する模様である。

実際、これらの提言には中学校の現場が大変注目しているとともに、早期の実現を期待していることも事実である。全日中が発行する「平成27年度調査研究報告書」(平成28年2月)でも、最近5年間の部活動に関する課題として「部活動指導における教員の負担や顧問の決定」は86・2%で断トツのトップであり、「部活動指導員」の配置についてはスクールカウンセラーの配置に次いで強く希望する項目となっている。

これらの国の動きは、教員の勤務負担の軽減や生徒の健全な成長を促す観点からも大いに評価されるところだが、肝心の教員以外の部活動指導者の確保は、現実問題としてどれぐらい実現の可能性があるのだろうか。

例えば、前述したタスクフォースが例示した指導者の中で、平日の部活動指導の時間帯である午後4時から6時にどれだけの人間が勤務できるのか、勤務できたとしても同じ人間が週5日間勤務可能なのか、そうした人材を誰が探し交渉するのか、指導者たちの研修を誰がどういった立場で指導するのか、勤務中の服務監督の責任者は校長なのか教育委員会なのかなど、提言された内容は現場の校長から見れば、まだまだ「絵に描いた餅」に近い状態であろう。

このほか、教員の部活動指導に関しても、勤務時間外に部活動指導を行わなければならない勤務上の法的根拠や、その手当等の財源など以前から指摘されていた未解決の問題については、教員以外の指導者を充てることが前提としての話であるため、今回の諸提言においては、何ら触れられていない。

ある中学校の校長に聞いた話だが、タスクフォースが例示した指導者の中で最も可能性の高い指導者候補は「退職教員」であった。「生徒指導を配慮した部活動指導に最も意欲を持ち、校長が安心して任せられる存在」というのが一番の理由だという。人材確保の面で、国はさらなる対策を検討する必要があるだろう。

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