各教科等の見方・考え方 教育実践にどう生かすか

次期学習指導要領の大きな特色は、「教育課程の構造化」を掲げ、資質・能力の整理が行われていることである。「教育課程の構造化」とは、審議のまとめ(案)によると、「教科等と教育課程総体とのつながりや、教育課程と資質・能力の関係を明らかにし、子供たちが未来を切り拓いていくために必要な資質・能力を確実に身に付けていくことを目指す構造に改善していこうとする」こととしている。

これを受け、「資質・能力の三つの柱」を掲げると同時に、「各教科等の特質に応じた見方・考え方」および「教科等を超えたすべての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力」について整理している。
二番目の「見方・考え方」は教科等ごとに整理され、総則の最後に「別紙」として付すことも検討されている。この各教科等の見方・考え方は教育課程の構造化を図る上で不可欠の作業であったと考えられ、これまでの改訂ではなしえなかった画期的な取り組みといえる。

今後、各教科等の見方・考え方の趣旨を明確にし、教育課程の実施や改善に生かしていくためには、次のような点も視野に入れた検討を期待したい。

第一は、教科等の見方・考え方をどのように用いるのかである。教科によっては、指導内容の特質に応じて見方・考え方がさらに具体的に示される構造となっている。また審議のまとめ(案)では「『見方・考え方』を改めて明らかにし、それを軸とした授業改善の取組を活性化しようとするもの」としている。さらに、各教科の教科書の編集の際に、「見方・考え方」が手引として用いられることも想定される。

一方、各教科等の見方・考え方を整理すればするほど、教育課程全体における教科等の役割や位置付け、教科等間を関連付ける視点が遠のくのではないかという心配もある。国語は「言葉の働き」がキーワードであり、社会科は「社会的事象」であり、算数・数学は「数量や図形」「論理的・統合的・発展的」等である。ここには、各教科固有の用語や対象が用いられており、例えば思考や判断の通教科的な側面が抽出されているわけではない。「見方・考え方」をどのように用いるのか、今後、新課程実施の中で検証し改善していく必要がある。

第二は、これまで歴史的経緯の中で成立してきた教科等の構成と各教科等をベースに「見方・考え方」の案が作成されている点である。教科等の構成は、その時々の教育の状況の中で見直され、歴史的に形成された面を持ち、純粋に論理的なものでもない。各教科の内容構成も同様に、諸事情で形成されてきた側面を持つ。今後も必要に応じて、見直しや改訂が行われることが予想される。原理的には、これからの社会における生きる力を育むための「見方・考え方」を、言葉やコミュニケーション、数理、生活・健康、感性や美、社会生活、自然、情報等の観点から区分し、そこから各教科等の見方・考え方にたどり着く道筋が作られると、教育課程の構造化に資することが可能になる。

「見方・考え方」の抽出・整理については、さらに時間をかけ、多面的・多角的な検討を期待したい。「見方・考え方」に用いられている一つ一つの言葉や述語の裏付けはどこに求められるのか。「見方・考え方」が、今後の教科等の教育実践に及ぼす影響が大きいのを踏まえると、裏付けの理解と共有が可能となり、教育実践と往還可能な「見方・考え方」として機能していくことが期待される。

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