教師ひとりで抱え込むな いじめ解決は「組織的対応」で

文科省のいじめ対策協議会(座長・森田洋司鳴門教育大学特任教授、日本生徒指導学会会長)は8月22日、第2回会合を開き、「いじめに対する組織的対応」について集中審議した。「組織的対応」はいじめ問題の解決の核心部分ともいえるだけに、各委員の積極的な発言が目立った。

この日、事務局は、「いじめが背景にある自殺事案」で「組織的対応」が十分に機能しなかった3ケースを示した。

第1の事案は、中学校1年生男子の自死事案。自死の数カ月前から見下す言葉でのからかい、仲間外れなどのいじめを受けているとの相談が学校にあった。

このケースでは、「保護者からの相談を受け、学校では臨時会議を開催するなどで対応したが、一部のいじめについては、担任止まりになっていた」「学校全体で情報共有がなされず、管理職による点検・指導が行われなかった」「養護教諭やスクールカウンセラーと情報を共有して対応に当たることをしなかった」「自死発生前、本件いじめについて学校から教育委員会への報告は行われていなかった」。

第2の事案では、中学校1年生女子の自死事案。クラスや部活動で暴力を伴わない悪口、心理的な嫌がらせが日常的に発生していた。

このケースでは、「一部のいじめでは、担任と学年主任のみで対応をとり、学校の対策組織には共有されていなかった」「いじめ、クラス内のトラブルが発生し、いじめの対策組織で協議した場合でも、協議の内容について記録が作成されていなかった」。

第3の事案は、中学校2年生男子の自死事案。クラスや部活動で嫌がらせ、暴力などを受けており、担任とやりとりしていた生活記録ノートには、『死にたい』などの記載があった。

このケースでは、「学校にいじめ防止のための組織は設置されていたが、各学年の状況などを確認する場としては機能していなかった」「担任がいじめに係る情報(生活ノート記載など)を学校のいじめ対策組織として共有しなかった」「学校として、担任の経験や感覚だけに頼らず、複数の教員の目で生徒を捉え、情報交換を通して生徒への理解を深めることができなかった」。

これらの事案からも明らかにされたように、いじめ問題解決の障害になっている主な原因は、教師間で「情報の共有」がなされていないことであった。この日の会議でも、多くの委員がその事実を認め、その打開策をめぐって具体的な提案があった。

この中で、「いじめは教員の指導力不足で発生するという一般的な考えを払拭しなければならない。特に、責任感が強い真面目な教員がそのような考えに陥りやすく、いじめをひとりで抱え込む一因となっている」「担任が気がつかないいじめ問題もある。学校全体で見守る必要がある」「校長の指導力が問われている。教員ひとりで解決するのは不可能であるとの認識を持ち、『チーム学校』を構築し、対応すべきだ」など、管理職の役割を重視する意見が目立った。

また「チーム学校」の構成員として、PTA、地域住民、退職校長などの協力も必要だとの意見もあった。

いじめ問題の「組織的対応」で最大のネックになるのは、「教職員の多忙」であるのは、各委員のほぼ共通した意見だった。そのためにも、教職員の定数増など、問題解決を図るための政治家や行政側の率先した対策の履行を強く求めたい。

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