次期学習指導要領の特質 「社会に開かれた教育課程」実現へ

中教審は、次期学習指導要領の答申に向けて、積極的な審議を続けてきた。8月26日に開かれた教育課程部会(無藤隆座長)で、「これまでの審議のまとめ案」について話し合った。このあと、国民からのパブリックコメント、各教育研究団体へのヒアリングなどを経て、調整を加えた上で、年内には文科相に答申する予定だ。

「審議のまとめ(案)」は、第1部・学習指導要領等改訂の基本的な方向性、第2部・各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性の2部構成。ここでは、第1部の「基本的な方向性」にふれながら、次期学習指導要領の特質などを探る。

この「基本的な方向性」を一読した上での率直な感想を述べるとすれば、「不易と流行」を押さえた哲学に貫かれている印象が強く残った。「改訂の基本方針」を示した次の文章は、そのことを端的に表している。

「教育基本法や学校教育法が目指す普遍的な教育の根幹を踏まえ、グローバル化の進展や人工知能(AI)の飛躍的な進化など、社会の加速度的な変化を受け止め、将来の予測が難しい社会の中でも、伝統や文化に立脚した視野を持ち、志高く未来を作り出していくために必要な資質・能力を子供たち一人一人に確実に育む学校教育の実現を目指す。そのため、学校教育の中核となる教育課程や、その基準となる学習指導要領及び幼稚園教育要領を改善・充実する」

ここでは、「教育基本法や学校教育法」が目指す教育を普遍的な教育、すなわち「不易」と捉え、グローバル化の進展や人工知能(AI)などの進化」を「流行」と捉えているものといえる。

その上で、具体的には「社会において自立的に生きるために必要な『生きる力』の理念を具体化し、教育課程がその育成にどうつながるのかを分かりやすくすることが重要」「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を学校と社会が共有し、連携・協働しながら、新しい時代に求められる資質・能力を子供たちに育む『社会に開かれた教育課程』を実現する」などを提案している。

「不易と流行」を組み合わせた教育を実現するためには、いかに「社会に開かれた教育課程」を実現するかにかかっていよう。

これについてまとめ案は、以下のように提案している。

「新しい学習指導要領等においては、教育課程を通じて、子供たちが現実の社会との関わりの中で、豊かな学びを実現することが求められる。これは、子供たちの日々の充実した生活を通して、未来の創造を目指すことでもある」

「学校が社会と世界と接点を持ちつつ、多様な人々とつながりを保ちながら学ぶことができる、開かれた環境となることが不可欠である。そして、学校や社会とのつながりを意識し、社会の中の学校であるためには、学校教育の中核となる教育課程もまた社会とのつながりを大切にする必要がある」

「『社会に開かれた教育課程』を実現することにより、学校の場において子供たち一人一人の可能性を伸ばし、新しい時代に求められる資質・能力を確実に育成したり、そのために求められる学校の在り方を不断に探究する文化を形成したりすることが可能となると考えられる」

これらの問題提起は、教委関係者、現場教師だけでなく、教育学者にも突き付けられた大きな課題といえよう。

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