いじめ事案の解決 保護者との情報共有が不可欠

いじめ事案への対応で、大きな課題の1つとなっている「保護者との情報共有」に焦点が当てられ、集中審議された。文科省の専門家会議である「いじめ防止対策協議会」(森田洋司座長)が9月30日に開いた第4回会合で取り上げられた論点である。成案には至らなかったが、「保護者との情報共有」の重要性とその具体的手立てが提案され、それなりの収穫を得た。

会合では、各委員から意見を聞く前に、いじめ事案に対する「保護者との情報共有」についての教委、教員からの聴き取りが報告され、次の3点が明らかにされた。

▽保護者が担任教師にいじめについて相談しても、担任から管理職に報告されていない場合がある。そのようなとき、保護者が管理職と話をして初めて管理職は事案を把握することとなり、保護者が担任に不信感を持つ場合がある。

▽加害者側の保護者がいじめではないと主張し、被害者側との間で学校が板挟みになるケースがある。

▽学校で詳細に調査を実施してもいじめが確認できない場合、被害者側の保護者が納得せず、弁護士やマスコミなど各方面に訴えて収拾がつかない事例がある。

このあと、弁護士、教育学者、公立学校長、私立学校長、PTA役員などの各委員から意見陳述があった。アトランダムに挙げる。

▽「いじめ事案」が出された場合は、教員は保護者と一緒になって対応することが重要だ。教員一人に責任を押し付けるのは問題。

▽家庭問題が原因で「いじめ」につながるケースが多い。教員には保護者とともに、子供一人ひとりに寄り添う姿勢が求められる。守秘義務も大事にしたい。

▽教員には異動があるため組織力を構築するのは難しい。スクールカウンセラーなどと連絡を密にするなど、常にアンテナを高くして保護者との接触に努めてほしい。

▽保護者に対応する際、その事案についての秘密保護を前提にした「記録」をきちんと取る必要がある。

▽校長も「保護者との情報共有」を重視すべきで、教委からの情報提供によって初めて事案を知るのでは遅い。

このほかにもいろいろな対策が提案されたが、その中でも、「担任一人で保護者対応をすると、失敗するケースが危惧される。少なくとも学年という単位で対処したらどうか」という意見に注目した。

「保護者との情報共有」でやっかいな問題は、「保護者の姿勢」である。一部マスコミで使われている「クレーマー」の存在だ。よく引き合いに出される事案としては、いじめの加害者である子供の保護者が絶対に加害行為を認めない例である。その場合の対処法として有効なのは、教員一人で対応するよりも、学年単位という組織対応が効果的という知見は参考にすべきだろう。

「いじめ防止対策推進法」が施行された平成25年9月以降、いじめと自殺の関係が問われた12件のうち少なくとも9件で、第三者委員会が、同法で求められている「学校での情報共有」が不十分だったと認定していたことがわかった(朝日新聞9月29日付)。このことは、いじめ事案の対応で「情報共有」がいかに重要かを証明したことになる。

「いじめ問題」では、あくまでも加害・被害者の人権を尊重しつつ、事案の早期解決を図るための有効な手段として、「保護者との情報の共有」を図ることも必然の措置である。

あなたへのお薦め

 
特集