ニートを解消 高校の「キャリア教育」充実で

OECDは10月5日、「図表で見る社会年版」を発表した。この中で、諸国全体で15歳から29歳までの人口の15%に匹敵する約4千万人の若者が、就学も就業もしていないニートの状態にある実態が明らかにされた。

しかも、多くのOECD諸国で経済危機以降、ニート率が上昇傾向にあるのとは対照的に、日本のニート率は近年、OECD諸国平均よりも低下傾向にある実態もわかった。ただ、日本のニート率の低下傾向も、いつ上昇傾向に転じるか知れず、適正なキャリア教育など、今から対策を講じておくことが求められよう。

ニートの状況下にある約4千万人の実態をみると、そのうち3分の2は、求職活動もしていないというから驚く。「若者全体のほぼ40%は、過去4年間で一時的に不活動状態または失業を経験しているが、そのうち半数は、この期間が1年以上続いており、意欲の喪失と社会的孤絶につながる可能性がある」という。

また16歳で後期中等教育(高校)を修了することなく学業を終えた若者が、ニートの30%以上を占めているのも明らかにされた。さらに、外国生まれの若者がニートになる確率は、自国生まれの若者の平均1.5倍高く、ドイツ、オーストリア、オランダ、ノルウェーでは、それが2~2.25倍に上る。

この結果について、ステファノ・スカルペッタOECD雇用労働社会問題局長は、「低技能の若者が、今日の労働環境で仕事、それも安定した仕事を見つけるのは、非常に困難になっている。あらゆる人々が教育と訓練を受けられるように機会を改善しない限り、社会格差が拡大するリスクが高まる」と述べている。

その解決策についてOECDは、「早期卒業者への対策が極めて重要。各国政府は、若者が少なくとも後期中等教育の学歴を得て、教育を続けられる、または職業技能を習得できるようにしなければならない。改善してきてはいるものの、OECD諸国の25歳から34歳までの6人に1人は、後期中等教育を修了せずに学業を終えている」「職業訓練の質を向上させることと、雇用者と協力して実習制度を創設することも重要。特に最も恵まれない環境にある若者のために十分な実習の場を設けるように、企業に資金的なインセンティブを与える国が増えるべきだ」などと指摘している。

ここでの解決策のキーワードは、「後期中等教育の修了」である。日本の場合は、若年者の大多数が高校を卒業しており、高卒資格のない若年者の割合は6%未満に過ぎないなど、ほぼ「後期中等教育の修了」の条件を満たしている。

求職活動をしていないニートの一部は「ひきこもり」、すなわち社会環境から離れ、雇用ならびに社会関係を避ける人々である。日本政府の推計によれば、2015年、20歳から29歳までの若年ひきこもり者は26万5千人である。これら若者への対応は緊急の課題である。

その有効な手立ては、キャリア教育の充実である。中教審の平成23年1月の答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方」では、「後期中等教育修了までに、生涯にわたる多様なキャリア形成に共通して必要な能力や態度を育成する。また、これを通じて勤労観・職業観を自ら形成・確立する」のを打ち出している。

学校現場は、生涯を見据えたキャリア教育の充実という難しい課題解決に挑戦してほしい。

あなたへのお薦め

 
特集