次期教育課程のキーワード 新しい言葉に振り回されないために

「新しい言葉に振り回されないで」とは、この6月に文部科学事務次官に就任した前川喜平氏が本紙インタビューに応じた中で話した言葉である。同氏は述べている。

「アクティブ・ラーニングや『社会に開かれた教育課程』など目新しい言葉はあるが、大きな方向性は変わっていない。新しい言葉に惑わされないようにしてほしい。小・中学校では、今までやってきたことをさらに進めてもらいたい。自ら学び、自ら考える学習はこれまでもやっている。社会に開かれた教育課程は、今までやってきた体験学習やキャリア教育も盛り込み、学校の教育課程と外の世界とのつながりを今よりも一層意識してカリキュラムをつくってもらいたい。カリキュラム・マネジメントの重要性が指摘されているが、もともと、学校の教育課程は学校でつくるのが基本」

「自信を持って教育現場に立ってほしい。目新しい言葉に振り回されないでほしい。今までも自ら学び自ら考える子供を育ててきたのだから。そして教員も自ら学び自ら考える人になってほしい。アクティブ・ラーニングをどう実施していくか。社会に開かれた教育課程をどう進めるか。こうしたことを教員が自ら考えてほしい。言葉に振り回されないでほしいとは、教員が自ら考えてほしい裏返しだ」。

▽アクティブ・ラーニング▽社会に開かれた教育課程▽カリキュラム・マネジメント▽主体的・対話的で深い学び▽見方や考え方▽資質・能力の三つの柱等々の次期育課程のキーワードや小学校の英語の教科化やプログラミング教育に関する言説が雑誌や資料、教育図書、新聞等を賑わしている。本紙8月25日付社説でも「審議のまとめ案熟読を 言説に踊らされないように」と警鐘を鳴らした。前川氏の注意喚起と激励を素直に受け止めたいところである。

では、新しい言葉に振り回されないためには、何をどう考えればよいのか。次期教育課程を確実に実現していくためにはいま何が課題で、どうクリアしていけばよいのか。これらを各学校、一人ひとりの教師がしっかりと考え、取り組む必要がある。

まずはキーワードの意義や意味をばらばらに捉えるのではなく、一つの文脈の中で捉えることである。これは「審議のまとめのポイント」で把握できよう。

次に、各キーワードの意義や意味を「審議のまとめ」から把握し、現行の教育課程の何を受け継ぎ、何が変わるのかなどを確認する。その上で、現行の教育課程でこれらがどれだけできているかを学校評価・教育課程評価を通じて明らかにする。

そして、次期教育課程実現に向け、今後、学校が、教師一人ひとりが、どんな力、資質・能力をどう高めていくかを明確にする。出された課題をいつ、どのように解決し実現していくかの見通しを立て、計画的に取り組んでいくようにすることである。

世間では、本質を考え議論するのではなく、小学校英語の教科化やプログラミング教育などを先取りした動きが始まっている。踊らされている向きがないとは言えない。それだけに学校は、本質が何かについて保護者や地域の人々に分かりやすく丁寧に繰り返し説明していく必要がある。

一方、文科省にもお願いしたい。かつて「生きる力」「学習指導要領改訂の趣旨や内容」のパンフレットを全家庭に配布した。今回もそうした広報を早く的確・適切に行って、言葉に振り回されない、惑わされないようリードしてもらいたい。学校・家庭・地域が一体となって「社会に開かれた教育課程」を実現するために。

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