小学校の「英語の教科化」 時間確保・指導体制の充実が焦点

次期学習指導要領に向けた改訂で、小学校高学年で教科型の英語学習が位置づけられている。英語教育の強化ともいえるが、学校現場は、不安と戸惑いを隠せない。

中教審の次期学習指導要領をめぐる「小学校の外国語(英語)教育」の議論で、これまでに明らかにされた課題は、次のようなものである。

▽子供たちが将来どのような職業に就くとしても、外国語で多様な人々とコミュニケーションを図ることができる基礎的な力の育成が重要。

▽現在、高学年では「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動を実施しているが、「読むこと」「書くこと」を加えたすべての領域をバランスよく育む教科型の外国語教育を高学年から実施する(年間70単位時間程度が必要)。

▽中学年からは、外国語の音声や表現などに慣れ親しませるようにするため、「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動を行い、高学年の教科型の学習につなげていく(年間35単位時間程度が必要)。

▽時数については、15分の短時間学習や60分授業の設定、長期休業期間における学習活動、土曜日の活用や週当たりコマ数の増など、地域や学校の実情に応じて組み合わせながら弾力的な時間割編成を可能としていくことが必要。

中教審のこれらの方針に対し、学校や教育委員会の受け止めは、数多くの課題を解決しなければ、実現は難しいとの根強い認識だ。文科省が「次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ」で、外国語教育についてヒアリングした教育団体の意見を見ると——。

全連小は、「時間割編成(中・高学年で年間35単位時間増)を全小学校で一律の取り扱いで行うのは困難。外国語教育が導入されれば、教材研究に多くの時間が必要となり、教員の多忙化は大きな問題となる。国の予算で専科教員やALTなどの人的配置が欠かせない」などと提案。

一方、指定都市教育委員・教育長協議会は、「教科化の方向性が示されているが、その詳細について早期に示していただきたい。その際、教科担任制や専科制などの指導体制の構築や教員の負担軽減の観点から定数の改善や加配措置を講じられたい」。全国市町村教育委員会連合会も、グローバル時代に対応した国際語(英語)の重要性を認識した上で、「指導体制の充実と担任の専門性の向上」などを求めた。

特に、際立った提言をしたのは全日教連で、「小学校高学年における英語の教科化」に関する「時数確保」と「指導体制」の両面にわたり、詳細かつ具体的な課題などを指摘した。

「時間確保」では、15分の短時間学習の設定、60分授業の設定、長期休業期間における学習活動、土曜日の活用、週当たりのコマ数増の各項目の課題を提示、文科省に実効性のある時数確保を求めている。

また「指導体制」では、「現在の小学校教員は養成課程で英語教育の指導を受けておらず、英検準1級取得者は2.8%、英語免許状所有者は5.3%に過ぎない。ALTなどの配置も自治体で大きな差がみられる。専科教員の大幅な拡充は必要だ」などと訴えている。

グローバル時代を生き抜くためには、外国語(英語)の習得は不可欠だ。この国家的な難事業に、各教育団体は真摯に取り組む姿勢を見せている。現場の不安と戸惑いを払拭する意味でも、文科省は手厚い予算措置などを講じながら邁進してほしい。

あなたへのお薦め

 
特集