理不尽な通学時の交通事故 さらなる厳しい措置で対応を

何とも理不尽で、不条理極まりない事件が起きた。10月28日の朝、横浜市港南区の市道で集団登校中の小学生の列に軽トラックが突っ込み、近くの小学校1年生のT君(6)が頭の骨を折るなどして死亡、1〜5年の女児2人と男児2人を含む計7人が重軽傷を負った。

ショックだったのは、事故を起こし、容疑も認めている運転手が87歳の高齢者で、3年前の免許更新時に認知症の検査などを受けた際は、異常は認められなかったものの、今回の事故では「どうやってあそこに行ったか覚えていない」と供述するなど、認知症の可能性があるということだ。

結局、この運転手は、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の容疑で逮捕されたが、超高齢で、認知症の疑いのあるドライバーが何の落ち度もない小学生を死に至らしめ、重軽傷を負わせた行為は、何とも悲しく、腹だたしい事件と言わずして何と表現してよいだろうか。

警察庁の調べによると、今年上半期に全国で発生した交通死亡事故のうち、65歳以上の高齢者が第一当事者(過失が重い側)の事故が全体の28%で、過去10年間で最も高い水準だった。ただ、10年前の同期と比べると、全体の死亡事故件数が減る中で、80歳以上の増加が目立つ。85歳以上に絞ると、4241件にも達している。

高齢者による交通事故が起きるたびに浮上するのは、「免許停止」の問題だ。大きな動きとしては、来年3月施行の改正道路交通法により、免許更新時の検査で、「認知症の恐れ」と判定された75歳以上の運転者全員に、医師の診断が義務付けられ、「認知症」と診断されれば、免許停止か取り消しとなる。

「究極の対策」として期待されているのが、運転免許の自主返納だ。昨年、65歳以上の申請での免許取り消し件数は約27万件に上がるが、移動手段の確保などさまざまな理由で自主返納に応じない高齢者も多い。この際、「認知症の恐れ」があるなしにかかわらず、一定の年齢(例えば80歳)に達したならば、免許取り消しなどの手段を取るなどの法的措置をすべきではないか。このまま放置しておけば、数多くの尊い命が奪われていくことになろう。

一方、交通安全を含めて「学校安全」全般に関する議論は、現在、中教審の学校安全部会で進められている。来年2月には、「第2次学校安全の推進の策定について」と題して文部科学大臣に答申する予定だ。

「交通安全」に関する審議経過報告によると、「児童生徒の交通事故による死者数は、近年減少傾向にあるが、なお114人に上っている。また、児童生徒が加害者となるケースを含めて、自転車乗車中の事故が依然として発生しているとともに、歩行中の交通事故を年齢別にみると、7歳の事故が突出して多いといった特徴も明らかにされた」としている。今後、この「7歳の事故」の防止という命題を真剣に受け止め、諸対策を講じることが必要ではないか。

また審議経過では、今後の方向性として「通学路の安全点検の取り組みが不十分な地域では、学校の周囲の交通環境や生活環境は変わっていくのであるから、関係機関との連携の下、継続的な点検を行い、その結果を踏まえた対策の改善・充実を一連のサイクル(PDCAサイクル)として実施することが必要だ」と強調している。

これらの方向性を実現するには、保護者、地域住民の協力が欠かせないのは言うまでもない。理不尽な事故を二度と起こさせてはならない。

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