学習評価の在り方 実践課題の解決に向けて

小・中学校の学習指導要領が平成28年度末に告示された場合、その後、全面実施に至るまでの期間は、移行措置が実施されるとともに、教育課程編成の方針やカリキュラム・マネジメントなどは先行実施が推測される。観点別評価と評定は、引き続き目標準拠評価として実施される。

観点別評価、評定、目標準拠評価とも一定の実践の積み重ねがあり、各学校でルール化された手続きに従って評価が行われてきた。ただ、それぞれ踏み込んで捉えると、解決すべき課題が数多く残されている。

まず、目標準拠評価の妥当性・信頼性についてである。例えば評価の妥当性とは、テストを用いてある学習内容に即した思考・判断・表現を評価する場合、用いた評価方法が評価対象と適合しているかである。観点にふさわしい評価方法が準備されているかどうかが問われる。信頼性とは、評価規準に照らして評価した結果が正確に学力の状況を示しているかという点である。

公開されている各学校の評定の分布などの資料を見ると、学校ごとに評定状況が異なっており、特に中学校の場合、高校に提出する調査書の内容とも関連し、学校間での評価の信頼性確保が課題とされてきた。都道府県によってさまざまな工夫が行われており、今後も情報共有を図りながら、学習評価の信頼性を高める取り組みを進める必要がある。

評価の妥当性・信頼性確保と密接に関連するのが、評価の総括の在り方である。総括については、観点ごとの総括と観点別評価の評定への総括がある。前者については、各単元相互の間の重み付けの在り方が課題となる場合がある。後者の観点別評価の評定への総括については、特に中学校の場合どのようなルールをとるかが課題となる。平成22年の指導要録の改善に関する通知では「評定の適切な決定方法等については、各学校において定める」とされており、決定方法は学校の判断とされている。

観点別評価Bは評定の3に対応するとされるが、Aは評定5または4として評価するため、何らかの総括ルールが必要になる。総括の手続きはやや技術的側面を持っており、そこにどのような教育的意味を持たせるのかについても、検討する必要がある。

評価方法については、特に「関心・意欲・態度」の評価に課題があると指摘されてきた。「審議のまとめ」では好ましくない例として「挙手の回数やノートの取り方」が挙げられている。平成22年の指導要録改善の際も同様に指摘された事項であり、その後、解決されてこなかったのを示している。また好ましくない例を示し、改善すべきと言っただけでは、おそらく今後とも改善は進まないのではないか。適切で妥当な評価方法を例示してこそ、問題の解決が図られる。否定形の注意喚起ではなく、肯定形のモデル事例を提供し、普及させてこそ問題の解決が進むのではないだろうか。

次期改訂では、「知識・理解」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理されることとされている。この整理は目指す学力と観点を正対させる点で合理的といえる。ただ、これまでの4観点に比べて「主体的に取り組む態度」のウエートが高まることになり、この観点の評価の信頼性が、なお一層問われることになる。

学習指導要領の構造的な改革と合わせて学習評価の在り方についても、根本的な視点から検討し直すとともに、教育指導の改善につながる評価の在り方の検討を期待したい。

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