PISAと次期学習指導要領 国際化・情報化に向け国家戦略を

12月6日、文科省からOECDによる生徒の学習到達度調査(PISA2015)の結果が発表された。平均得点の国際比較では、数学的リテラシーと科学的リテラシーは参加72カ国・地域中で5位と2位で前回2012年調査と比べ順位を上げて高レベルを維持したが、読解力は8位で前回の4位から順位を下げた。

これに関して同省は、今回初めて導入されたコンピュータによる調査方式に日本の子供が十分に対応できなかったからではとの見解を示すとともに、次期学習指導要領に向けた改訂作業で指摘されていた、文章で表された情報を的確に理解し自分の考えの形成に生かすのが苦手な点などを挙げている。しかし、総じて現行の学習指導要領の下で実施されている「生きる力」の育成を中心とした知識・技能の習得とそれらを活用して思考力・判断力・表現力等を育てる方向性は間違っていないと実証されたといえよう。そして、学校現場における教員の熱心な指導がそれを支えている。

ただ、こうした結果を受け、次期学習指導要領への方向性とも考え合わせ、今後の国や各地区教育委員会、さらに学校が取り組む方向性が明らかになってきた。それは、先の同省の指摘にもあるように、学習能力の基盤となる言語能力と情報活用能力のさらなる育成である。

同省は第一に読解力を支える語彙力の強化を挙げているが、語彙力の基盤となっている読書活動や漢字検定の受検などの状況は後退していない。むしろ、そのあとの応用力育成を目指した学校の指導が不足しているのではないか。例えば、教師が子供にただ本を読ませ感想や意見を発表させるだけの指導になっていないか、子供からもっと多様な感想や意見を出させ、それを正当化させるための論理的な説明文を作らせるといった授業を長い時間をかけ丁寧に行っていく指導を行うべきだとの意見や、子供にあえて多くの情報を提示し目的を達成するために必要な情報だけを取り出し、それを整理し、さらに構造化していく作業をさせるべきだとの意見もある。

すでに前回のPISAでも主催者のOECD側から「日本は習得すべき主要な概念・知識とそれ以外の事実的知識を構造的に捉える必要がある」と指摘されているが、同省はそれに次期学習指導要領で対応する考えだ。すなわち、「文章の構造と内容の把握、文章を基にした考えの形成など、文章を読むプロセスに着目した学習の充実」に着目し、文章の構成や展開について、記述を基に捉える学習や文章を読んで理解したことを基に自分の考えを深める学習など「深い学び」を中核とした言語能力の育成を充実させるとしている。

情報活用能力については、子供の実態として、インターネットで正解を求めようとする傾向が強いといわれている。それから一歩進み、学校ではインターネットを使い、複数の情報を比較や分類、批判などをして整理した上で自分の考えを組み立てていくといった学習や、教科書以外に実用書や新聞といった専門的な語句が多く存在する副教材も使って内容を自分の力で説き明かしていく学習も今から実施してよいのではないか。そのためには、先進国の中でも最も貧弱といわれるわが国の学校のICT環境をさらに推進していくことは、指摘された課題を解決していく一方策であろう。

子供の学力だけでなく、今後の国際化・情報化に積極的にわが国が関わっていくための国家戦略の在り方を考えさせてくれたPISAと考えてもよいのではないか。

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