次期学習指導要領の実施で 「自他の尊重」基本によりよい社会を

中教審(北山禎介会長)は昨年12月21日、平成26年11月に当時の文科相から諮問された「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等」について、松野博一文科相に答申した。総会、初中教育分科会、教育課程部会、ワーキンググループなど延べ218回の会議を開き、約441時間の審議を経てまとめたものである。

その内容は、第1部「学習指導要領改訂の基本的な方向性」、第2部「各学校段階・各教科等における改訂の基本的方向性」で構成されている。

答申は冒頭、「2030年の社会と、その先の豊かな未来において、一人一人の子供たちが、自分の価値を認識するとともに、相手の価値を尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、よりよい人生とよりよい社会を築いていくために、教育課程を通じて初等中等教育が果たすべき役割を示すことを意図している」と述べている。

「自他の尊重を基本に、よりよい社会を構築する」との考え方は、答申の核心を突く部分で、目指すべき理念としては「社会に開かれた教育課程」が位置付けられ、各学校で、必要な教育内容をどのように学び、どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを明確にしながら、社会との連携・協働により、その実現を図っていくべきだとしている。今後、各学校が「社会に開かれた教育課程」をいかに編成するか、重い宿題を背負わされることになろう。

次期の学習指導要領は、過去のスケジュールを踏まえて実施されれば、小学校では東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年からの10年後、つまり2030年にかけて行われる。答申が2030年を強調しているのは、「子供たちが現在と未来に向けて、自らの人生をどのように拓いていくことが求められているのか、また、新しい時代に生きる子供たちに学校教育は何を準備しなければならないのかという、これからの子供たちが活躍する将来についての見通しが必要となる」と述べ、「予測困難な時代に一人ひとりが未来の創り手となる」重要性を指摘している。

その上で、2030年とその先の社会の在り方を見据えながら、学校教育を通じて子供たちに育てたい姿として、次の3つのパターンを示している。

(1)社会的・職業的に自立した人間として、わが国や郷土が育んできた伝統や文化に立脚した広い視野を持ち、理想を実現しようとする高い志や意欲をもって、主体的に学びに向かい、必要な情報を判断し、自ら知識を深めて個性を伸ばし、人生を切り拓いていくことができる。

(2)対話や議論を通じて、自分の考えを伝えるとともに、他者の考えを理解し、自分の考えを広げ深めたり、集団としての考えを発展させたり、他者への思いやりを持って多様な人々と協働したりしていくことができる。

(3)変化の激しい社会の中でも、感性を豊かに働かせながら、よりよい人生や社会の在り方を考え、試行錯誤しながら問題を発見・解決し、新たな価値を創造していくとともに、新たな問題の発見・解決につなげていくことができる。

これらの学習パターンは、冒頭の「自他の尊重を基本に、よりよい社会を構築する」との考え方に相通じるものである。新たな学習指導要領が実りある学習効果につながる関係者の地道な努力に期待したい。

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