通級指導充実で教員増を インクルーシブ教育の構築で

現在、特別支援教育を受けている児童生徒の数が増加している。

文科省の資料によると、平成27年度と10年前を比較して、特別支援学校(幼稚部、小学部、中学部、高等部)の在籍者は1.35倍、特別支援学級は2.08倍、通級による指導は2.3倍に増加している。特に著しい増加は、通級指導である。

通級指導は、小・中学校の通常の学級に在籍する障害のある児童生徒が、大部分の授業を通常の学級で受けながら、週に1単位時間から8単位時間(学習障害、注意欠陥多動性障害は、月1単位時間から週8単位時間)程度、障害の状態等に応じた特別の指導を特別の場(通級指導教室)で受ける指導形態である。

対象は、言語障害、自閉症、情緒障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、弱視、難聴、肢体不自由および身体虚弱(ただし学習障害、注意欠陥多動性障害は、平成18年度から新たに通級指導の対象、併せて自閉症も18年度から対象として明示し、それ以前は情緒障害として対応)である。

少子化で児童生徒数の減少が進んでいるが、特別支援教育の対象となる児童生徒は、逆に増加している。

その理由としては、(1)障害に対する社会の理解が進み、保護者が子供を特別支援教育関係の学校、学級、教室にと思うようになった(2)特別支援教育機関の教育内容、指導などが充実し、保護者、地域社会に認められた(3)行政機関の努力により、特別支援学校等の環境整備が進んできた――点が挙げられる。

これらの理由から特別支援教育の通級指導もニーズが高くなっているが、ここに大きな問題がある。通級指導の担当教員は、ほとんどが加配である。現在、財政制度等審議会は、教員の加配定数の計画的削減を伴う「合理化案」を提示し、文科省と論争している。もしこの合理化案が実施されたら、特別支援教育の柱である通級指導の教員配置が削減される心配がある。

昨年12月16日、財務省で、松野文科相と麻生財務相による、来年度予算案を巡る大臣折衝が行われ、これまでは通級指導や外国人児童生徒などの対応に4万人の加配定数で対応していたが、その4分の1に当たる9500人を基礎定数化することになった。これに関連して義務標準法が改正されれば、10年後には通級指導において、子供たち13人に1人の教員で指導できるようになる。

平成26年1月20日、わが国は、国連の障害者の権利に関する条約を批准した。同条約では、障害のある子供が、十分な教育を受けられるようにすることが求められている。特に可能な限り、障害のある子供が障害のない子供とともに教育が受けられるようにするインクルーシブ教育システムの構築が求められている。

そのような背景の中で、比較的軽度の障害といわれている発達障害の児童生徒が、文科省の調査で、全児童生徒の6.5%いると推計され、その児童生徒の教育の柱の一つである通級指導が重要になる。

現在、中学校で通級指導を受けた生徒は、卒業後の高校では制度化されていないため、ほとんどは高校の通常の学級か特別支援学校高等部に行くしかない。

平成18年の学校教育法改正で、同法第75条第1項に、高校において、教育上特別の支援を必要とする生徒に対し、障害による学習上または生活上の困難を克服するための教育を行うことが明記された。早急な制度化が望まれる。

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