教科等の教育について 次期学習指導要領でどう見直すか

各校の教育活動は、教育目標を実現するために、一定の内容を適切な方法で展開して進められる。一定の内容とは、教育課程を構成する教科等であり、国語、社会、算数・数学などと区分編成されている。

各校では、教育課程のねらいに基づき、教科等ごとに指導計画が作成され、授業が展開される。学習評価や指導要録も教科等ごとに作成される。教科書や教員免許、教員研修等も教科等ごとに設定され、展開されている。教育研究会や学会も教科等ごとに組織され、研究が進められてきた。実態としての教育指導は教育課程全体ではなく、教科等の教育として展開されている。教科等は教育課程を構成する要素でありながら、実態は制度化されてきたといえる。

一方、1980年代以降の社会の変化に伴い、環境問題のような複合的な問題群への対処が求められることとなった。教育課程でいえば社会、理科、家庭、保健体育等の教科によるアプローチによって、環境問題の全体像が把握可能になる。クロスカリキュラムや教科横断的な学習が注目されると同時に、平成10・11年改訂の学習指導要領では総合的な学習の時間が設置された。

総合的な学習の時間では、「横断的・総合的な課題」が示されると同時に、各教科等で身に付けた知識や技能等を関連付け、総合的に働くことが求められた。指導計画と並び全体計画が作成され、各教科等の学習を有機的に結びつける取り組みが進められるようになった。以上の流れは、総合的な学習の時間の導入をきっかけに、各教科等の学習を相互につなぐ取り組みが行われるようになったことを意味している。

翻って、次期学習指導要領では教科等の教育の在り方はどう改善されていくのか。昨年12月の中教審答申では「何ができるようになるか」の見出しで、「教科等を学ぶ意義の明確化」について述べている。教科等と教育課程全体のつながりの見直しや教科等の特質に応じた「見方・考え方」を用いる意義を記している。前者については各教科等で育まれた力を実社会で活用する汎用的能力に育てることや、教科等横断的に育む資質・能力につなげる必要が述べられている。今改訂が従来の流れとやや異なるのは、各教科等の学習成果の汎用性を重視している点や、教科等横断的に育まれる資質・能力が示され、それとの関連が明記されている点である。各教科等と教育課程全体を往還させるカリキュラム・マジジメントの確立を求めている点とも関連する。

各校では、この要請をどう具体化するかが問われる。とりわけ「往還」をどんな仕組みと方法で実現するか。教育課程全体が目指す資質・能力を各教科等の目標にどう浸透させ具現化するのか、逆に、各教科等ごとの学習評価をどのように教育課程全体の評価にフィードバックするかという課題である。教科等に分けて指導した成果を単に寄せ集めても、全体の評価にはならない。分析と総合の間にある溝の問題である。

一方、教科等ごとの「見方・考え方」は「各教科等を学ぶ本質的な意義の中核」であり、「子供たちが学習や人生において見方・考え方を自在に働かせられるようにする」のが重要としている。今後「見方・考え方」は各教科等の指導計画に生かされ、授業構成に用いられるのが想定される。ただ「見方・考え方」を働かせることが、当該教科の授業にのみ向かうのではなく、他教科等や他学年との関連に生かされていくのが重要だ。「見方・考え方」の活用が各教科教育の深化だけでなく、他教科等に開く道筋になるようにしたいものである。

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