カリキュラム・マネジメント 先行の研究・実践に学ぼう

次期学習指導要領を実施する上で、重要な施策の1つとみられる「カリキュラム・マネジメント」。その実現のためには、各学校の体制整備が急がれるが、先行研究が乏しいせいか、参考になるようなモデル開発がなされていないのが現状だ。

そんな中で、ベネッセが発行している教育オピニオン誌「VIEW21」(今年度第4巻、教育委員会版)が「今から考えるカリキュラム・マネジメント」と題する特集を組み、先行研究の役割を果たしている。

特集では、中教審教育課程企画特別部会の委員を務める高木展郎横浜国立大学名誉教授にインタビュー。「『学力の3要素』をバランスよく育むため、学校全体でカリキュラムの推進を」との立場から同氏は、(1)カリキュラム・マネジメントが必要な理由は、資質・能力の育成を踏まえた抜本的な転換を図ること(2)その考え方は「学校全体で教科を超えて各教科のカリキュラムを考える」こと(3)カリキュラム作成のポイントは、単元ごとに指導計画を作り、指導と評価の一体化を図ること(4)教育委員会の役割は、学校全体でカリキュラムを構築する重要性を周知すること——と整理した。

実践事例としては、新潟県上越市立大手町小学校の「資質・能力の育成を目指した独自の教育課程を全校体制で開発」、長野県飯山市教委・飯山市立上南中学校の「市を挙げて授業改善の仕組みをつくり、全教員参加のPDCAサイクルを確立」、徳島県阿波市立伊沢小学校の「小学校英語科の教科化に向けて、教科間の連携や授業時数確保に挑戦」の3つのケースが紹介されている。

上越市立大手町小学校は文科省の研究指定校で、現在、「真の〈自立〉と〈共生〉を目指す教育課程の創造」をテーマに研究。その際、育てたい資質・能力を「探究力」「情報活用力」「コミュニケーション力」「創造性」「自律性」「共生的な態度」の6つに整理し、それらの育成のために、各教科の学習内容を大きく「生活・総合」など6つの「領域」に再編した。

この実践で、教科横断的な視点でのカリキュラム編成、組織的・定期的な見直しによるPDCAサイクルの確立など、参考になる部分は多い。

飯山市教委は、カリキュラム・マネジメントを推進するため、学校への働きかけを積極的に進め、学力向上に向けて、全教員参加の仕組みや年間を通じてPDCAサイクルを回すフローを確立するなど、今後、各自治体がカリキュラム・マネジメントを推進する上で参考になろう。

阿波市立伊沢小学校は、文科省の研究指定を受け、同じ中学校区の2つの小学校とともに、小・中・高連携の英語教育の研究を進めている。他教科や行事と連携した単元ごとのカリキュラムづくりを進める一方、5・6年生では、教科「外国語」を先行実施し、年間70時間の授業時数を確保するため、週3回、各15分間のモジュール学習を実施している。

こうした実践の結果、「英語に触れる頻度が高まり、定着が進むなどの成果がみられた」とする。その一方、「教員の負担増や他教科へのしわ寄せなどの課題もみられた」との報告があった。

各学校が未知の領域である「カリキュラム・マネジメント」を円滑に推進していくためには、教育行政が上からの目線で、推進を図ろうとする姿勢であれば、成功はおぼつかないであろう。各学校に大幅な裁量を認め、特色ある学校づくりを推進するための支援体制を確立してほしいものだ。

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