学習指導要領案 学びの地図となっているか

学習指導要領案が公表された。答申では第1部第4章2の「(1)学習指導要領等の枠組みの見直し」で「学びの地図」としての枠組みづくりを求めている。

具体的には「これからの教育課程や学習指導要領などは、学校の創意工夫の下、子供たちの多様で質の高い学びを引き出すため、学校教育を通じて子供たちが身に付けるべき資質・能力や学ぶべき内容などの全体像を分かりやすく見渡せる『学びの地図』として、教科等や学校段階を越えて教育関係者間が共有したり、子供自身が学びの意義を自覚する手掛かりを見いだしたり、家庭や地域、社会の関係者が幅広く活用したりできるものとなることが求められている」としている。学習指導要領が「学びの地図」を求めているが、期待に沿うものとなっただろうか。

案では前文で、教育の目的・目標、教育課程の意義、社会に開かれた教育課程、学習指導要領の意義と役割などを示した最後に「児童の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待して、ここに学習指導要領を定める」とあり、「学びの地図」となるのを意識したものと受け止められる。

学習指導要領の枠組みについて答申では(1)何ができるようになるか(2)何を学ぶか(3)どのように学ぶか(4)子供一人一人の発達をどのように支援するか(5)何が身に付いたか(6)実施するために何が必要かに沿っての改善を求めていた。この表現は捉えやすく分かりやすかったが、案ではこれらが消えて第1章総則の構成は第1小学校教育の基本と教育課程の役割、第2教育課程の編成、第3教育課程の実施と学習評価、第4児童の発達の支援、第5学校運営上の留意事項、第6道徳教育に関する配慮事項となり非常に固い表現となった。法規体系の中の文なのでやむを得ないかもしれないが、消えてしまったのは残念である。教師等は分かるだろうが、広く家庭や地域、社会の関係者が分かるだろうか。そうした目で見ると文が回りくどく、意味を捉えにくい。もっと簡潔に分かりやすく表現できないだろうか。

「資質・能力」については、「生きる力」を育むために各教科等の指導を通して「どのような資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら教育活動の充実を図り、その際、児童の発達の段階や特性を踏まえつつ、次に掲げることが偏りなく実現できるようにするものとする」としている。その「こと」とは「(1)知識及び技能が習得されるようにすること/(2)思考力・判断力・表現力等を育成すること/(3)学びに向かう力、人間性を涵養すること」の3点が示されている。これも中教審答申を受けたものだろうが、その示し方を簡潔にしたことで育成すべき「資質・能力の三つの柱」の意図・意味が不明確になった感がする。また(1)(2)については現行と趣旨が同じなのかどうかはっきりしない。

「資質・能力」についてはこの他にも「一人一人の資質・能力」「学校教育全体や各教科等における指導を通じて育成する資質・能力」「各教科等横断的な視点に立った資質・能力」「言語能力、情報活用能力(情報モラルを含む)、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力」「豊かな人生の実現や次代の社会の形成に向けた現代的な課題に対応して求められる資質・能力」など多様な形で表出する。個々の意味付けや相互関係、これらと各教科等で育成する資質・能力の関係が見えてこない。

 「学びの地図」として全体と各部分の姿、位置や方向、関係等々が捉えやすくする必要がある。再度検討し工夫する必要がある。

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