学習指導要領案 総則をどう生かすか

学習指導要領案が公表され、告示を経て平成32年度、小学校から順次全面実施となる。今後各学校では、新教育課程の目指す理念や趣旨の理解、各教科等の改訂内容の把握を進めながら、教育課程編成の準備に入っていく。各学校ではこれまでも、教育基本法や学校教育法を踏まえ、総則に示された学力像を基本に、地域の願いや児童生徒の課題等を押さえながら教育目標を設定してきた。この意味で、総則は各学校の教育課程編成の基本指針となってきた。

それでは、新しい総則に基づき教育課程を編成する際には、どんな課題があり、どう克服していけばよいか。学習指導要領案は、小学校6章、中学校5章で構成。第1章の総則と第2章以下の教科等の構造的な関係に変化はない。ただ、総則の構成には大きな見直しがなされている。これまでは「第1 教育課程編成の一般方針」の中に3つの学力像や道徳教育、体育・健康に関する指導が含まれていたが、今回は「第1 小学校教育の基本と教育課程の役割」との柱立てとなり、上記3つの内容は、いわば知育、徳育、体育を担うものとして区別して示された。各教科等の指導を通して実現する資質・能力として、知識・技能の習得等3つの柱が示されている。

また、第1章総則の「第2 教育課程の編成」では、「教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成」の項目が示され、言語、情報活用、問題発見・解決の各能力等、学習の基盤となる資質・能力を育成する教育課程の編成が掲げられた。

さらに、学校段階間の接続についても項目を新設。これまで「第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」に示されていた内容は、「第3 教育課程の実施と学習評価」ほかの項目に整理された。そのほか「第4 児童の発達の支援」「第5 学校運営上の留意事項」が新設された。

総則は、いわば各学校で行う教育課程の編成と運営について、具体的、網羅的に作成されているのが特色である。

第一の課題は、項目数、内容の種類が増えたのをどう捉え、教育課程の編成作業に具体化するかである。網羅的になるほど逐条的解釈が行われ、内容が具体化されているかのチェック機能を果たすようになりかねない。教育課程は基準に従いながら児童生徒の特性等を踏まえた学校の教育計画であり、一定の特色が許容されるものである。この各学校の創意工夫の在り方の観点から総則をどのように生かすかが問われる。

第二は資質・能力の3つの柱の実現について。総則は目標の達成自体を直接に課しているのではなく、「知識及び技能が習得されるようにすること」ほか計3つの「こと」が「偏りなく実現できるようにする」としている。3つの柱は、各教科等の指導に浸透させながら実施されていくが、「偏りなく実現できる」ためには、各教科等の教育を着実に進めればよいのであろうか。

第三に「主体的・対話的で深い学び」についてである。この「学び」の指し示す内容は曖昧で、学校現場で「定義」を巡る議論にならないようにする手立てが必要である。総則では「各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方が鍛えられていくこと」「知識を相互に関連付けてより深く理解」といった言葉が記されている。これらが新しい学びといえるのか、それともこれまでも実施してきた学びの見直しなのかがはっきりしないと、教育実践の現場ではとまどうことになりかねない。

新しい総則を教育課程編成にどのように生かしていくのかが、今後の課題といえる。

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