「すべ(術)」を取り入れた授業改善 新学習指導要領の対応で成果

新しい学習指導要領では、各学校がいかに「資質・能力を育む授業づくり」を構想し、努力し、成果を上げるかが求められている。特に、大学入試において、PISAや文科省の全国学力・学習状況調査のB問題(「活用」に関する問題)、すなわち、「思考力・判断力・表現力」を問う出題が重視されている中で、新しい授業づくりへの対応が求められている。

その模範的な授業改善に取り組んでいる学校の一つとして、川崎市立東菅小学校(葉倉朋子校長、児童数483人)を紹介しよう。同校は、日本体育大学大学院の角屋重樹教授(教育学研究科長)をアドバイザーに迎え、2013年度から「すべ(術)」を取り入れた授業改善に取り組み、2016年度までの4年で、「子供同士の学び合いが思考を深めることを実感し、子供の主体性を引き出す指導」に成果を上げてきた。

この授業づくりの詳細については、ベネッセ教育総合研究所発行の「VIEW21」(2017年、教育委員会版)に掲載されている。

長年、理科教育を中心にPISA型学力の育成を研究し、子供たちに学ぶ「すべ」を身に付けさせることを提唱している角屋教授は、「思考力」「判断力」「表現力」「知識・技能」の指導のポイントを説明したあと、最後に「学びに向かう力」の指導のポイントについて次のように述べている(概略)。

――「友だちのよい点を学び合うまねのできる学級づくり」は、学級の中に「まねされる側」と「まねる側」の階層ができてしまう心配はあるが、ここで重要となるのが学級づくり。教員が子ども一人ひとりの長所に光をあて、人それぞれに価値があると、違いを肯定的に受け止められる姿勢を育むことが大切。他者とかかわり合うことで自分がよりよく変容できると実感させることが、学び合いの風土づくりに結びつく。

――特に、小学校低学年は、まねをすることが好きだから、人の話をきちんと聞く姿勢を身に付けさせよう。そうすることで、安心して発言する場を築くことができ、学び合いの効果をより引き出すことができる。低学年から学び合いの良さを経験すれば、中学年以降の学びの質にも大きな影響をもたらすだろう。

同校では、角屋教授の指導の下、実践を続けているが、この4年間で、学力、学習意識共に大きく向上したとしている。文科省の全国学力・学習状況調査の結果をみると、2013年度は全国平均に届くかどうかで、B問題が課題だったが、2016年度には、国語、算数共に上昇し、特に、B問題は大幅な伸びを示した。

また、質問紙調査の結果でも、国語、算数の授業理解や自己肯定感に関する質問への肯定率が2013年度はいずれも平均を10ポイント前後下回っていたのが、2016年度はそれぞれ14~26ポイントもアップした。

同校の実践について、卒業生の進学先の中学校からは、「理科の実験では、自分で課題を見つけて予想を立てて実験している」「やりたいことを積極的に提案してくる」など、同校の指導に対する肯定的な声が出ているという。

葉倉校長は、「教員が各自の工夫を生かした取り組みを行い、互いに刺激し高め合ってきた。成果は上がりつつあるが、まだ発展途上だととらえている、今後も生みの苦しみがあると思うが、新しい学校文化を創造していきたい」と抱負を語っている。

同校の先駆的な実践が授業改善のモデルになるよう、大いに期待したい。