全面実施の諸条件整備 視野を広げ確実に進めよう

新学習指導要領に基づく教育課程の全面実施が確実に行われるようにするためには、教育課程実施に必要な諸条件の整備を教育行政が速やかに進めることはもちろんのこと、各学校内においても視野を広げ確実に進めるようにすることが必要である。

中教審答申(平成28年12月21日)では、「学習指導要領の実施に必要な諸条件の整備」として、「教員の資質・能力の向上」「指導体制の整備・充実」「業務の適正化」「教材や教育環境の整備・充実」の4点を示し、それぞれに取り組むべき事項を求め、具体的な提言がなされていた。文科省はこれらを踏まえて取り組むべき施策を立案し、予算化を図り、実現に向けて取り組んでいる。各地の教育委員会もこれを見据えながら取り組みを始めていることであろう。

では、各学校はどうだろうか。ほぼ十年に一度の教育課程の全面改訂である。学校の教育目標の見直しから始めて新学習指導要領に基づく教育課程を編成するときである。

小学校での中学年の外国語活動、高学年の外国語の扱い、授業時数増にともなう日課表や時間割編成、プログラミング教育への取り組み等々、部分的な課題に関することに終始していないか。平成30年度、小学校で「特別の教科 道徳」を要とする道徳教育が全面実施となり、中学校でも同様に31年度から全面実施となる。当然ながらこれらの実施に必要な教育課程の編成、全体計画の作成、指導計画の作成が必要である。その際に、資質・能力の三つの柱の育成を目指し教科等横断的な教育課程の編成などが求められる。

そればかりではなく教育課程の編成・実施にはそれを支える教育条件の整備を視野に入れることが欠かせない。この点を視野に入れ全体を見て取り組む必要がある。

「教員の資質・能力の向上」では、「子供たちに新しい社会の在り方を創造することができる資質・能力を育むためには、そのために必要な教育を創意工夫し、子供たちの学習に対する内発性を引き出していくことができるよう、教員一人一人の力量を高めていく」ことを求めている。

そのため「教科等の枠を超えた校内の研修体制の一層の充実を図り、学校教育目標や育成を目指す資質・能力を踏まえ、『何のために』『どのような改善をしようとしているのか』を教員間で共有しながら、学校組織全体としての指導力の向上を図っていけるようにする」ことを求めている。

「指導体制の整備・充実」では、行政としての教職員定数の拡充、事務体制の強化、チームとしての学校の実現、人事配置などによる学校支援とともに、学校内においても学校内外での研修や教員個々の研修努力など、教員一人一人の力量が発揮されるようにする指導体制の整備を求めている。

「業務の適正化」では、学校現場の業務の適正化に向けた方策が進行しているところであるが、これが効果を出すためには学校・教員の具体的な改善努力の取り組みや創意工夫も必要である。これを学校としてどう取り組むかを視野に入れる必要がある。

「教材や教育環境の整備」では、新学習指導要領に基づいて改訂される新教科書を「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」においてどのように活用するかの研究が必要である。また、学校図書館の利用・活用、ICTの環境整備などもこの視点から整備したり充実させたりすることを視野に入れて取り組む必要がある。

以上のように、各学校は教育課程とともにそれを支える諸条件の整備についても視野に入れ、子供の教育環境、教員の教育活動の充実に向けて取り組んでほしい。

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