日本の子供の自己同一性 多様な力を総動員して向上を目指せ

本紙12月7日号の「深掘り教育ニュース」がOECD(経済協力開発機構)による「協同問題解決能力調査」の結果を分析した。調査結果は、日本の子供の「協同問題解決能力」は高いという内容だが、それについて本紙では、「違和感を拭い切ることができない」という表現をした。

そしてその根拠として、共同作業が嫌いな子供や異なる意見について考えるのは楽しいという子供の方が「協同問題解決能力」が高いという「PISA2015」との関係分析をした国立教育政策研究所の意見を掲載している。また、「集団の和を重視する日本人の特質」が背景にあるとも論じている。

もう一つ、子供の「協働」に関係した調査結果がある。平成28年度の「全国学力・学習状況調査」である。これについては、11月27日号で教育創造研究センターの高階玲治氏が多岐にわたる分析を行っている。「授業で友達との間で話し合う活動を通じて、自分の考えを深めたり広げたりすることができると思いますか」「友達の前で自分の考えや意見を発表することは得意ですか」の質問に、「できる」「得意」と答えた子供の割合が、双方とも前回調査とあまり変わらず低い数値であった。国研や高階氏の分析で共通していることは、わが国の子供の主体性や自立性のなさである。本当の意味の「主体的・対話的で深い学び」の不足である。

言い換えれば自己主張力の不足であり、自己同一性(アイデンティティー)の未成熟である。自己肯定感の低さも含めたわが国の子供のこうした実態は、いじめや不登校の問題にも大きく関係してはいないか。こうした実態から発生する課題や教育の諸問題の解決に向け、次期学習指導要領を通し学校は適正に対処できるのであろうか。

次期学習指導要領は、「社会に開かれた教育課程」の下、子供たちが未来の創り手として求められる資質・能力を育んでいくために、「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」を組み立て、家庭・地域と連携・協働し、子供の姿を踏まえながら見直しを図る「カリキュラム・マネジメント」を学校に求めている。

そのため、子供の発達段階に応じた系統的な指導ができるよう、校種・教科等とも学習目標や学習内容等に統一性を持たせた。その上で、「主体的・対話的で深い学び」を通して生涯にわたる学びにつながることを求めている。学校は、現行の学習指導要領で培ったノウハウを生かしながらも、子供の自立性を追求した深い学びを中核とする能動的な教育活動を展開していく必要がある。

これまでの学習指導要領でも「合意形成」という考えはあったが、学校の教育活動においては、人種や民族といった表面的な異質性だけでなく、価値観や思想・信条も異なる人々との本当の意味の「合意形成」の指導は十分に行われてこなかったことが、こうした調査等で一層明確となったといえる。

学校、特に論理的思考力の発達が著しくなる中学・高校では、論理的思考力の育成を図る活動はもちろんのこと、批判的思考力や洞察力の育成をも図る活動を、道徳科を含めた教科や特別活動、総合的な学習の時間、さらには教科横断的な内容の活動など、体系化した「社会に開かれた教育課程」の下、実施してもらいたい。

そこには、価値観の異なる教材や人材を活用することも必要であろうし、逆に自国理解や自己理解に必要な教材もこれまで以上に収集・開発していかなければならない。そのために、国や各教育機関、企業も含めた地域の力も総動員して学校を支援していくことは、もはや時代の必然であろう。

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