深い学びの実現 授業での実践の段階と自覚して

新年が始まり、子供たちは未来に向けて夢を語ったり、学校での学びが充実し飛躍するよう新年の目標を掲げたりしているであろう。

あるいは進級や進学への意志を固めているかもしれない。これからの激しく変化する時代に、自分や社会の未来を開き、たくましく生きていくための力を身に付け、一人一人が抱いた思いや願い、夢や希望を実現してほしい。学校・教師にはそのために必要な資質・能力の育成が求められている。しかも教えて身に付けさせるだけではなく、自ら学びを深める質の高い教育の実現が期待されている。

新学習指導要領の趣旨の理解の期間は過ぎ、4月から移行措置の実施に入る。

小学校では「特別の教科 道徳」を要とする道徳教育が新教科書を教材にして全面実施となる。小中共に総合的な学習の時間と特別活動が全面実施となる。移行措置のない教科で先行実施に踏み込む学校もあろう。当然ながら、指導方法においても全面実施や先行実施に踏み込まなくてはならない。目標とする資質・能力の三つの柱の習得、育成、涵養(かんよう)をバランスよく身に付けさせるための「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」の全面実施である。

授業改善の視点としての「主体的な学び」「対話的な学び」は、これまでも取り組まれてきたことであり、現行の学習指導要領総則においても関連する指導事項が規定されている。授業改善の視点としては必要条件だが、十分条件ではない。これらの学びが「深い学び」となってはじめて、授業改善に向かうことが保証される。では、「深い学び」とはどのようなものか。

各学校・教師の多くから「『主体的な学び』や『対話的な学び』は分かるが『深い学び』とはどのようなものかよく分からない」という声が聞こえてくる。そこで問い返したい。「日常の授業では学びが深まるよう指導の創意工夫をしていないのか」「浅い学びでよしとしているのか」。そんなはずはない。

全ての教師が一人一人の子供の学びが少しでも前進・向上するようにと努力しているはずだ。学びを深めていこうとしているはずだ。本時や単元の目標に迫り、これを超えていく学びであり、教科等の本質に迫る学びである。これをまず確認しよう。

その上で、中教審が示した「主体的・対話的で深い学びとは何か」や「学習指導要領解説 総則編」(2017年6月)に解説されている「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」の解説をしっかりと学習しよう。特に、総則に示されている「各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう学習の過程を重視した学習の充実を図ること」をしっかりと踏まえる。これらの事項について各教科の特質に応じ」、具体的に考えるとともに、これまでに創意工夫し努力してきた指導方法を確認したり共有したりすることから始めてみよう。

移行措置の実施、全面実施や先行実施の開始に当たっては、「主体的・対話的で深い学び」、特に「深い学び」とは何かという段階ではない。自分の学校でどう受け止めどう実践するかという授業での実践の段階である、との自覚が必要である。

学校としての創意工夫の具体的事項や取り組み方を明らかにし、一人一人の教師がこれを具現できるよう、学校挙げて協働的に取り組み子供一人一人の深い学びを実現してほしい。すでにスタートは切られている。