「リカレント教育」の推奨に注目 首相の「人づくり革命」

第196通常国会が1月22日召集され、安倍晋三首相は衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。

首相は、昨年の衆院選で訴えた「人づくり革命」などを実行に移す決意を表明、「未来は、与えられるものではない。私たち一人一人の努力でつくり上げていくものである。私たちの子や孫のために、今こそ新たな国づくりを共に進めていこうではないか」と述べ、「教育の振興」に並々ならぬ情熱を注ぐことを約束した。

首相の施政方針演説は、大きく(1)働き方改革(2)人づくり革命(3)生産性革命――の三つの柱からなり、「人づくり革命」では、「教育の無償化」を徹底して推進するとともに、多様な学びを重視する観点から「リカレント教育」の充実を強く打ち出している。首相が「リカレント教育」を重視した理由として、「人生100年時代、学齢期の教育は不十分。あらゆる人にチャンスがあふれる一億総活躍社会に向けての人づくり革命を推進する」と訴えている。「リカレント教育」に関する定義づけ、国内外の実施状況などは、数多くの刊行物で紹介されているが、ブリタニカ国際大百科事典によると、以下のように記述されている。

「義務教育または基礎教育の修了後、生涯にわたって教育と他の諸活動(労働、余暇など)を交互に行う教育システム。スウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンの提唱した概念で、1970年経済協力開発機構(OECD)の教育政策会議で取り上げられ、研究が進められている。スウェーデンやフランスの有給教育制度、アメリカ合衆国のコミュニティ・スクール、日本の夜間制社会人大学院、放送大学などがその例である。青少年の社会参加を早め、過重な教育負担や教育内容の世代間差を解消するなどの効果が期待される。しかし、生涯のどの段階にどのような教育を配置するか、労働などを中断して教育に参加する条件をどう確保するか、教育経費の増大にどう対応するかなど具体化への課題は多い」

「リカレント教育」の先進国である欧米諸国では、仕事をし始めてからも学習機会が必要となった場合は、比較的長期間にわたって正規の学生として就学することが推奨されている。個人の職業技術や知識を向上するために、フルタイムの就学とフルタイムの就労を交互に繰り返すこともできる。

一方、日本のリカレント教育は、その草分け的な存在である放送大学が知られている。カリキュラムの数は日本最大級で、インターネット、テレビ、ラジオなどで授業を受講することができるため、働いていても空いた時間を見つけて望む教育を受けられる。まさに、日本の基本的な就労形態に合致した教育システムとされている。また、明治大学、日本女子大学、筑波大学なども「リカレント教育」に力を入れており、夜間や土曜の昼間の開講、キャンパスを開放しての開講など、各校が日本の働き方を踏まえて実践している。

この教育に詳しいある研究者は、「リカレント教育は、本人の必要に応じて、生涯を通して教育を受けることができるシステム。女性の社会進出、育児関連制度の充実など働き方改革が進む中で、急激に変化する社会に適応するための知識や技術を更新し続けるために、リカレント教育は欠かせないものとなっていく」とエールを送っている。

政府が本腰を入れて、さまざまな課題克服に挑戦して普及させていく覚悟が必要だろう。