全国体力テストの結果を読む 運動嫌いをなくす取り組みを

スポーツ庁は2月13日、2016年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を発表した。50メートル走などの実技8種目の合計点の平均値は小・中学校とも女子が08年度の調査開始以来過去最高を記録し、さらに小学校女子が4年連続、中学校女子が3年連続の記録更新となった。一方で、小学校男子のソフトボール投げ、中学校男子の握力、ハンドボール投げの低下傾向が止まらない。

1週間の総運動時間は中学校男女とも二極化がみられ、特に女子では「0分」の生徒が約15%もいて前年度よりも増加。その関係か、運動やスポーツが「嫌い」と答えた割合が14年度以降小・中学校男女とも増加し続けている。規則正しい生活をしたり、テレビ・ゲームなどを行う時間が少なかったりする子供と、そうでない子供との体力合計点の格差がみられる。

ここ数年、学校などの努力もあり子供の体力は全体的に向上したが、運動好きな子供はむしろ減少傾向にあり、女子を中心に運動しない子供の増加を防げずにいる。今後の課題は、運動好きな子供を増やし、大人になっても運動・スポーツが自然と自分の生活の一部となるような状況を、どのように醸成していくかということになる。

課題解決の鍵となるのは学校の取り組みであり、家庭、社会の協力である。同調査の報告にもあるが、体力向上を意識的・計画的に取り組んだ学校・自治体ほど、その数値が必ずといってよいほど上昇している。

それらの学校・自治体での取り組みをキーワードにすると、「運動の習慣化」と「運動嫌いの撲滅」であり、そのための「子供の自主的活動」「バリエーションに富んだ活動」「幼児期からの系統的な活動」となる。例えば、子供同士の話し合い活動を授業に取り入れることが挙げられる。サッカーなどの集団スポーツを行う際のポジショニングや作戦についての話し合い、器械体操に苦手意識を持つ子供に対する同級生からの助言活動など行っている学校では「運動が嫌い」と答える子供の割合が少ない。小規模校では縦割り集団を編成し、上級生が下級生を指導する工夫もみられる。

このほか、個人ノートやグループノートを作り、子供にその時間の目標や振り返りを書かせたのち、教師が適宜助言を行うような活動を行っている学校でも同様の結果が出ている。こうした学校では校庭にもホワイトボードを持ち込み、授業のめあてや子供からの意見を書き込むなど、他の教科指導と同じような授業を行っている。教委が作成した「運動習慣カード」を使って学校と家庭が連携し、体力向上に取り組むきっかけをつくったところもある。

運動嫌いをなくす取り組みでは、運動が苦手の子供に対し個別指導や特別メニューの導入など、何らかの取り組みをしている学校で体力テストの合計点が高い傾向にある。同調査の報告ではないが、運動嫌いの女子が多い学校の取り組みとして、ダンスやアルティメット(フリスビーを使ったアメリカンフットボールのような競技)など、運動量は多いが比較的手軽にでき、集団で楽しめる運動を取り入れ、運動嫌いを「0」にした中学校の例もある。

子供は本来運動することが好きな年代だ。その「本能」をつぶしているのが実は大人であり、子供を取り巻く社会環境ではないか。新学習指導要領の理念は、よりよい学校教育を通して、よりよい社会をつくることで、それは学校と社会が共有すべきものだ。この理念に基づき体力向上と、生涯を通じて運動に親しむ態度の育成を達成していきたい。

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