高等学校新教育課程への移行 目指す資質・能力の視点で指導計画を

高等学校学習指導要領の改訂内容が明らかにされ、2022年度から年次進行で実施されることとなった。20・21年度の小・中学校における新教育課程の全面実施と併せて、2020年代の学校教育の基調が明確にされたといえる。

高校の改訂内容については、目指す資質・能力を各教科・科目等に浸透させる構成としたことや、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を教育課程の柱に据えたことは、小・中学校と同様である。総則の一部を除いた内容や総合的な探究の時間、特別活動は先行実施となることが予想される。この動きも踏まえたとき、各高校において来年度以降、準備しておきたいことを考えてみたい。

第1は教科等横断的な資質・能力の育成を教育課程の編成上、どう計画するかという点だ。新学習指導要領では、教科等横断的な資質・能力として、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等を学習の基盤として挙げている。高校の場合、各教科は科目で構成され、しかも履修の形態が異なる。単位制の場合、多くの科目群で系列が設定されている場合もある。これを前提にしたとき、「学習の基盤」としてのこれらの資質・能力を計画的に育てるにはどのようにすれば可能になるか。

一つは、科目等ごとにこれらの資質・能力をどの内容や活動で育てるのか、指導計画に明示することが考えられる。学年進行に応じて系統的に展開するためには、実践経験の中から目指すレベルを具体化し、履修の順序を見通しながら指導計画に示すことだ。

第2は、大幅に改訂された教科・科目等の履修に関わる検討である。特に科目構成と必履修が見直された教科については、履修学年の配置や順序の検討が必要である。国語については、国語総合4単位から現代の国語、言語文化の各2単位の必履修となった。

地理歴史の場合、世界史AまたはBの必履修と共に他の科目から選択履修であったものが、地理総合、歴史総合の2科目の必履修となった。配置学年や履修の順序の検討が必要となる。教科ごとに資質・能力や指導内容の系統を十分研究し、生徒の特性や進路希望等も踏まえた教育課程を編成する必要がある。

第3は、充実が求められる道徳教育である。今回の改訂で、道徳教育の全体計画がより具体的に示されると同時に、道徳教育推進教師を中心に、全教師が協力して道徳教育を展開することとなった。小・中学校のように、学級担任が道徳科を指導する体制ではない高校の場合、道徳教育推進教師をどのように選任し、担当業務をどうするのか考える必要がある。各学校の現状と課題を踏まえた方針の下に、全体計画の作成と実施・評価、関連情報の公表などを担当することが想定される。

第4は、障害のある生徒への指導だ。今回、通級による指導に関わる単位の修得認定の方法が学習指導要領に示されている。高校における通級による指導は、18年度から実施に移すべく、設置者における実施校の選定や対象となる生徒、特別の教育課程等について取り組みが開始されている。

第5は、キャリア教育の位置付けと進め方についてである。改訂によってキャリア教育は「特別活動を要としつつ各教科・科目等の特質に応じて」とされ、その位置付けが明確になった。今後は、キャリア教育を活動ベースとするのではなく、目指す資質・能力を各教科・科目等でどのように育てるかといった視点から、指導計画を立てることが必要である。