障害者のための生涯学習支援 新たな教育の地平を開く施策に

文科省は3月20日、学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議(座長・宮崎英憲東洋大学名誉教授)の初会合を開き、今後の推進方策の検討に入った。

この会議は、昨年4月7日付で当時の松野博一文部科学大臣から発出された「特別支援教育の生涯学習化に向けて」と題するメッセージを契機とする取り組みなどを踏まえ、「学校卒業後の障害者が社会で自立して生きるために必要となる力を維持・開発・伸長し、共生社会の実現に向けた取り組みの推進が急務」「人生100年時代を迎え、誰もが必要なときに学ぶことができる環境を整備し、生涯学習社会を実現するとともに、共生社会の実現に寄与するため、学校卒業後の障害者の学びに係る現状と課題を分析し、その推進方策を検討する」のが設置の目的だ。

このメッセージのポイントは、「障害のある人たちが夢や希望を持って活躍できる社会を目指す必要があるが、その中でも保護者は、特別支援学校卒業後の学びや交流の場がなくなることに大きな不安を持っている」「今後は、障害のある人たちが生涯を通じて教育、文化、スポーツなどのさまざまな機会に親しむことができるよう、教育施策とスポーツ施策、福祉施策と労働施策等を連動させながら支援していくことが重要」「各地方公共団体においても、関係部局の下、国と共に取り組んでいくことが必要」というもので、その積極的な推進策が求められた。

障害者の生涯を通じた学習活動の充実に関しては、その後の閣議決定などで、重要性が指摘され、昨年6月の閣議で「障害者の生涯を通じた学習活動の充実を図る」ことが明記された。

この方針を受けて、文科省は事業化に向けて動き出し、2018年度予算案では、「特別支援教育の生涯学習化推進プラン」と銘打って、各種事業に着手した。その事業名は、「学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究」(新規)、「特別支援学校等における障害者スポーツの充実(拡充)、「障害者の文化芸術活動の充実」(拡充)などである。

一方、地方自治体でも、「特別支援教育の生涯学習化」に取り組む事例が目立つ。

例えば、秋田県では、障害者の生涯を通じた多様な学習活動を総合的に支援するため、庁内各部署が連携した体制を整備している。また、京都市では、1972年度から「障害のある市民の生涯学習事業」を市の独自事業として実施するほどの熱の入れようだ。

注目されるのは、東京都国立市の「障害者の生涯学習活動」で、教育から福祉・労働分野に至る市内関係部署や、若者サポートステーション・社会福祉法人などの関係団体と連携し、「自立に課題を抱える若者支援」の取り組みを実施した結果、障害者/健常者という枠組みを超えた「共生」の成果をあげたとしている。

これら「障害者のための生涯学習支援」事業は、主に公民館がそのコーディネーターの役割を担っているが、障害者/健常者という枠組みを超えた「共生」を重視するのであれば、学校も側面から支援する体制づくりが必要である。

「障害者のための生涯学習支援」という考え方は、教育、医療の面で新たな地平を切り開くものと期待が持てる。今回の初会合でも、ある委員から「この問題は、療育と教育の視点で考察したらどうか」との提案があった。一考に値するのではないか。