新任校長への期待 新たな視点で学校づくりを

3月末に多くの校長先生が長年のご尽力とご苦労の末退職された。校長を10年務めて退職された方が「この10年間、子供を白木の棺に入れて見送るようなことがなかったことが何よりだ」と語っていた。再任用で校長を続ける方もいようが、ここは一区切りとし、本当にお疲れさまでしたと感謝し、心からねぎらいを申し上げたい。

4月から新たに校長となった多くの先生方、ご昇任にお祝いを申し上げる。学校の最高責任者として、これまでの教員生活において積み上げてきた知見や経験を発揮するときがきた。未来からの留学生である子供たちに、変化の激しい社会に生きる力を付ける教育を実践することに意欲を燃やされているであろう。いや、この変化の時代への不安もあるかもしれない。

ある校長は初めて校長室の椅子に座ったときの感想を、「自分の後ろは窓だけ。ここで頼る者は自分のみ。教育委員会は電話などでつながっているが姿は見えない。と思ったときにゾクッとした」という。

ある校長は、「始業式で初めて全校の子供たちと対面したときに、この子たちの命を自分は預かっているのだと思い、改めて責任の重さを実感した」と述べていた。新任校長の全てがこうした思いを抱いたことであろう。

校長の職務には、「教育者」「学校経営者」「学校管理者」の三つの側面がある。教育者として、未来に生きる子供たちに生きる力を育成し、資質・能力の三つの柱を育成する教育の重要性を認識して、自校の教育をリードするとともに、それを実施できる教職員を育成する。学校経営者として、教育の目的・目標を具現できるよう学校経営ビジョンを明確にし、具現に向けた展望や計画を示して、人、物、金、情報などの材や資源を効果的に関係付け機能させる。学校管理者として、教育課程、学校運営の執行管理、子供たちの健康・安全管理などを着実に進めていく。この三つは掛け算であり、どれが欠けても成果は出せない。

新任で着任した学校では新年度の教育が、前年度末に編成された教育課程に基づいて動き出している。新任校長はそれを見守るだけであってはならない。一方、自分の思うようにすぐ改革しようとすることは避けるべきだ。現教育課程は、学校評価を経て、それなりに改善され整えられてきた。まずは見守りながら現行教育課程のよさや課題を子供の姿、教師の姿でしっかりと把握しよう。課題については、すぐに改善できることなら手を付けてもよいだろう。課題は課題として残し、今後、どう改善・改革するか、具体案や改革案を立てることも必要だ。ある小学校長は初年度に177件、別の中学校長は初めの2年間で400件を超える課題を見いだした。新しい目で学校を見直すと、それだけの課題が見えてくる。

学校は今、改革、リニューアルのときであり、視点は二つある。一つは新学習指導要領に基づく新教育課程の編成・実施、一つは学校の働き方改革の推進である。これらについては、本社説や本紙各欄において繰り返し言及しており、ぜひ学んでもらいたい。副校長・教頭の多忙な職務の中で、なかなか研修の時間が取れなかったかもしれないが、校長になればそういう言い訳もきかない。学ぶのに遅いことはない。今からでもこの二つの視点を学び、二つの視点を関係付けて改革・リニューアルを意図的、計画的、組織的、そして発展的に進めていってほしい。