2つの英語教育調査から 常に英語に触れる機会を

先日、英語教育に関する文科省による2つの調査結果が公表された。「英語教育実施状況調査」(以下「実施調査」)と「英語教育改善のための英語力調査」(以下「英語力調査」)である。前者は全国の公立の小・中学校および高等学校を対象に、後者は全国の公立の中学3年生および高校3年生各6万人を対象に実施された。

「実施調査」では、中学3年生の英検3級以上(CEFR=ヨーロッパ共通言語共通枠でいうA1上位レベル以上)は40・7%で前年度よりも4・6ポイント増加。高校3年生の英検準2級以上(CEFRでいうA2レベル以上)は39・3%で前年度よりも2・9ポイント増加。全体では中・高生ともレベル上昇の傾向にあるが、国が2017年度までに掲げた「中学校卒業段階で英検3級以上、高校卒業段階で英検準2級以上の生徒を50%以上」という目標には到達しなかった。

一方、「英語力調査」で行われた4技能(「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」)調査によると、A1レベル以上の中3生は「聞くこと」29・1%、「読むこと」28・8%、「話すこと」33・1%、「書くこと」46・8%、A2上位レベル以上の高3生は「聞くこと」33・6%、「読むこと」33・5%、「話すこと」12・9%、「書くこと」19・7%であり、2年前の調査と比べポイントはおおむね増加しているが、国の目標50%からは程遠い。

中3生の「書くこと」の無得点者が11・0%、高3生の「話すこと」と「書くこと」の無得点者がそれぞれ18・8%、15・1%と、上級学校になるとその数が増加している。

子供の英語力を高めるために大きな役割を担う英語科教師の指導力について、国はCEFRでいうB2レベル以上(英検準1級以上)を取得した教師の割合を中学校では50%以上、高校では70%以上と目標を定めたが、「実施状況調査」ではそれぞれ33・6%(前年度比1・6ポイント増)、65・4%(同比3・2ポイント増)であった。

国は、グローバル化に対応するため、外国語でコミュニケーションを図る資質・能力育成の観点から、小学校段階からの英語教科化をはじめ英語教育の推進を図っている。2018年度までに前述の目標値を定めたのもその一環。その最終年度の調査で目標値に到底達しない結果から、これまでの対応を見直さざるを得ない状況になった。

これまで本稿においても英語科教員の指導力の向上について述べてきたが、やはり教員研修は重要だ。「実施状況調査」の分析で教員の指導力を向上させた都道府県の例をみても、さまざまな様態の研修の機会を設けたり、資格・検定試験の受験を促したりするなど工夫をしている。

同調査では子供の英語力を高めた事例も紹介。例えば、英語による授業の展開や生徒のコミュニケーション体験を豊富に取り入れた授業設計、修学旅行において外国人を相手に交流を図る事例など英語による表現の機会を意図的に作ることは効果的だ。

授業だけでなく給食時間などにおいてもALT(外国語指導助手)を積極的に活用し子供と常にコミュニケーションを取れるよう配慮するとともに、授業の打ち合わせや、許されるならば勤務時間後の食事会など教員との交流の機会を増やし、子供も教員も常に英語に触れる機会を学校全体で設定する意識を持つことが、国の目標を達成する近道かもしれない。