学力調査の分析 学校経営や教科指導の中核に生かす

全国の小・中学校において4月17日、「全国学力・学習状況調査」が実施された。新学習指導要領の移行期間となった今年度は、過去の調査において平均正答率が70%を下回った領域から3割以上出題するなど、長年課題とされてきた、習得した知識を活用するための思考力・判断力・表現力の定着度を測るとともに、「解説資料」を配布し、学校がそのつまずきの原因を探ることができるよう工夫もみられた。 文科省は、各学校が調査結果の公表前に出題された問題の分析を行い、1学期からの授業改善に役立てるよう期待している。

例年の国語、算数・数学のほか、3年に一度実施する理科が加わった。理科は、国語や算数・数学と違い、基礎的な知識を問う「A問題」と活用力を問う「B問題」を一体化した形で出題。結果の公表を、例年より1カ月早い7月下旬までに行う。中学校では来年度の同調査に英語が加わるが、そのための予備調査を、抽出した学校を対象に5月に行うことも発表された。

今回は新学習指導要領を意識した問題も出されている。中学校国語B問題では、総合的な学習の時間における学習で、ロボットについて調べたことや考えたことを発表する場面を設定、発表内容の展開を注意して聞き、必要に応じて質問したり、聞き手とのやりとりを踏まえながら、話の趣旨を明確にして話したりすることを求めている。国語科で育成するこれらの言語能力について、各教科等における言語活動のさらなる充実に資するものとなるよう、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図ることも大切という考えに立ち出題している。

昨年、国立情報学研究所の研究チームが発表したリーディングスキルテスト(RST)の結果で指摘された、わが国の子供たちの読解力の低さを解決するために、こうした設問にある教科等横断的で実生活を想定した学習を、今後学校は積極的に取り入れていくべきだ。

調査の実施後に各学校に配布される「解説資料」に、つまずきの分析ができるよう、解答類型の説明をしているのも今年度の特徴だ。子供一人一人がどこでつまずいているのかなど、学校が学習指導の改善・充実を図ることができるようになっている。7月の結果公表までに、学校はできる限り自校採点を行い、こうした資料を活用して、教科ごとの年間指導計画や単元ごとの授業計画を見直し、授業改善を図るべきであろう。

一方、現在教育委員会も行っている新教育課程に向けた指導資料の作成において、学校からの情報を収集し、この解説資料を活用しながら、学校にとって有益な情報提供ができるよう努めるべきであろう。

2007年度に全国学力・学習状況調査が悉皆(しっかい)調査となり、子供一人一人の学力や学習状況を教師が把握できるようになった。この結果を活用し、教師は授業改善を、管理職は学校改善を行えるようになった。新学習指導要領では、未来社会を切り開くために、子供たちに身に付けさせたい資質・能力を育む、社会と連携・協働した「社会に開かれた教育課程」の編成を学校に求めている。また、教育活動の質を向上させ、学習効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントの実現も期待している。

そのためには子供や学校、地域の実態を十分考慮して、自校の教育課程を編成することが大切である。その実態を把握するための重要なデータの一つが同調査の結果である。引き続き学校には、学校経営や教科指導の中核に同調査を位置付け、大いに活用していってもらいたいものである。