大学入学共通テストと高校教育の改革 生きて働く機能的な学力の育成を

大学入学共通テストは、2018年度入学生が3年次になる20年度から実施される。新テストの実施については、17年4月に大学入試センターに新テスト実施企画部が設けられ、新テスト実施企画委員会の下、問題作成について調査研究が進められている。16年度においては国語と数学を対象に、記述式問題の導入に向けたモニター調査を実施、問題の内容や難易度、解答に要する時間その他について検討した。17年11月には、国語、数学、地理歴史、公民、理科の試行テストが実施され、結果の分析と課題の抽出が行われた。18年度においても試行テストの実施が予定されている。

新学習指導要領の実施に向けては、前例にならうと、19年度から総則の一部、総合的な学習の時間、特別活動その他について移行措置として実施されることが予想される。総則については、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善やカリキュラム・マネジメント、学校段階間の接続、生徒の発達の支援などは、先行して実施されることが予想される。新学習指導要領の解説は、18年度中の作成が予想され、これらを受けて、各教委等でも新課程の実施に向けた手引の作成、あるいは研修会の実施が見込まれる。これらの動きを踏まえた時、各高校ではどのような取り組みと準備を進めていけばよいのであろうか。

一つは、生徒の実態を踏まえた指導計画や授業構成の在り方を検討することである。新学習指導要領は主体的・対話的で深い学びの実現を目指す授業改善を、いわば単元レベルで実施することを求めている。その際に、教科・科目等ごとの見方・考え方を働かせる授業の工夫が求められる。高校生の実態については、進学希望者の多い高校もあれば、基礎的・基本的な知識・技能の習得に課題がある生徒がいる実態も事実である。教育指導のポイントは、生徒に達成感、成就感を持たせながら、かつ教育指導の目標を実現するところにある。主体的・対話的な学習だからといって、課題追究的な学習や学び合い学習を形式的に導入しても、生徒の達成感につながるとは限らない。生徒によっては、基礎的な知識を丁寧に繰り返し説明しながら理解に至ることに成就感を感じる生徒もいる。より高度な知識や概念を自分自身で追究していくことのできる生徒も存在する。これらを踏まえながら、新学習指導要領の求める学力と教育指導の望ましい在り方を求めていくことが必要だ。

大学入学共通テストを受験する生徒が多い高校においては、試行テストが示す学力像を一つの手掛かりに、授業改善を進めることが考えられる。試行テストは共通テストと内容や形式が同じとは限らないが、今後の高大接続において求められる学力の方向性を示している。それは試行テストの問題が「知識の理解の質を問う問題や、思考力、判断力、表現力を発揮して解くことが求められる問題」であることからうかがうことができる。また、問題に用いられる資料や題材は、日常生活や社会の事象に関わるものであることも特色である。マーク式問題の場合、正答をすべて答える問題や、複数の小問が関連する形式の問題も見られる。

このようなテストの方向性を踏まえ、日常の授業においては、知識・技能とそれらを活用して課題を解決していくことが重要と考える。高校の各教科・科目で扱う知識や概念と、生活や社会の事象との間には相当の隔たりがある。このことを踏まえながら、知識や概念と実生活における事象との往還を意識しながら、生きて働く機能的な学力の育成を図る取り組みを進めたい。