キャリア教育の充実 「要」の関係をどう生かすか

2017、18年に改訂された小・中・高校学習指導要領では、キャリア教育は特別活動を要として、各教科等の特質に応じてその充実を図ることが明確にされた。キャリア教育の推進については、08・09年の学習指導要領の改訂以降、11年の中教審答申でその在り方が整理され、四つの基礎的・汎用的能力などが示された。学習指導要領の告示と答申との時期的な関係もあり、08、09年改訂の学習指導要領には、高校のみ「キャリア教育」の推進が示されていた。今回の改訂では、小・中・高校を通じて、「特別活動を要」とすること、「各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること」が明記された。

一方、「要」の位置付けを担うことになった特別活動については、学級活動およびホームルーム活動に「一人一人のキャリア形成と自己実現」の項目を設け、学校段階を見通した一貫した内容構成となった。今回の改訂によって、キャリア教育の教育課程上の位置付けや構造が小・中・高校を通して明確になった。今後、教育課程の実施に当たっては、次の点の課題解決を通じてキャリア教育の充実を図りたい。

第一は、各教科等の特質に応じたキャリア教育の推進である。先に挙げた四つの基礎的・汎用的能力が指針となる。これらは包括的な能力概念であるため、「各教科等の特質に応じた」指導にどのように具体化するかが問われる。今回の改訂で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせることが目標に記された。「見方・考え方」とは各教科等の対象を捉える視点や考え方を指しており、授業ではこれらを働かせながら、目標の実現を目指して進める。一方で、各教科等の授業では、主体的な学びや対話的な学びを追究する。その過程では、見通しを立てたり振り返ったりする学習、協働的な学習や対話的な学習などを進める。これらは各教科等の目標実現を目指すとともに、「人間関係形成・社会形成能力」や「課題対応能力」の育成に資する面を備えている。各教科等の授業においては、それぞれの目標の実現とともに、そこで育てる汎用的な能力も視野に入れた指導計画の作成が求められよう。

第二に、「要」の関係をどのように生かしていくかだ。「要」は、08年の改訂で、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育と道徳の時間の関係を示す言葉として用いられ、引き継がれている。道徳教育と道徳科の関係は、各教科等の特質に応じて行われる道徳教育を補ったり、深めたり、相互の関連を考えて発展させ、統合させたりする、とされている。以前から、補充、深化、統合の関係とされてきたものである。

今回、学校の教育活動全体で行うキャリア教育と学級活動の関係について、学習指導要領の「解説」では、「教育活動全体の取組を自己の将来や社会につなげていくための要」としている。今回学級活動の内容に設けられた項目「一人一人のキャリア形成と自己実現」について、「ここで扱う活動内容は、児童の現在及び将来の生き方を考える基盤となるもの」とされている。学級活動における学習は、キャリア教育を通して身に付ける資質能力を、児童生徒一人一人のキャリア形成や自己実現という視点から、「主体化」する点に意義がある。

今回の改訂によって、キャリア教育の構造的な展開・実施のための枠組みが整備された。全体計画と指導計画との関連を吟味調整するとともに、カリキュラム・マネジメントを通じて、その定着を図る取り組みを進めたい。