若手教員の服務事故 モラルアップの指導を積極的に

5月28日付の本紙「深掘り教育ニュース」でも取り上げたが、全国の小・中学校における教員不足が深刻な状況を迎えている。そうした状況に追い打ちをかけるように、新規採用教員試験の受験者が減少しているという。その結果、懸念されるのが教員の質の低下だ。授業などでの指導力はもとより人間性の問題も各方面から指摘される。事実、ここ数年、経験年数が5年未満の若い教員による不祥事が多発している。

文科省の発表によると、2016年度に懲戒処分を受けた教職員の数は合計8038人で、15年度の数と比較しても1718人多い。被処分者の年齢別の統計は出ていないが、東京都が毎月公表している服務事故による懲戒処分を受けた教職員の年齢をみても、18年1月~3月に教員経験5年以内と思われる23~28歳の教員が7人もいる。処分事由は、万引き(2人)、個人情報の紛失(2人)、身分証の偽造(1人)、教材費の横領・窃盗(1人)、酒気帯び運転による交通事故(1人)で、うち2人は懲戒免職処分、4人は停職処分である。個人情報の紛失以外は明らかに悪質な犯罪である。若いがゆえに起こしてしまったという理由では片付けられない性質のものばかりである。

服務事故は若手教員だけが引き起こすものではないが、学校における若手教員数の割合が増加する最近の状況では、何らかの対策をとる必要がある。最近の若者、特に大学を卒業して社会人になる世代の規範意識の状況はどうなのであろう。(公財)日本生産性本部が毎年行っている「新入社員 春の意識調査」の16年度版によれば、「上司から、会社のためにはなるが、自分の良心に反する手段で仕事を進めるよう指示されました。その時あなたはどうしますか」との問いに「指示通り行動する」と答えた者は全体の45.2%で、「従わない」(10.6%)を大きく引き離している。さらにこの数字は過去最高となっている。「従来の基準や慣習に反していても、法律に反しないことであれば、どんな手段や方法をとっても問題はない」の問いに対し、「そう思う」と答えた者が23.4%とこちらも過去最高となっている。これらの数字をもって、現代の若者の規範意識の是非についての結論を述べるのは早計だが、今の若者の倫理観に一抹の不安を感じるのではないか。つまり、意識する、しないにかかわらず服務事故を起こしやすい体質を今の若者は持っているということだ。

こうした若者、特に教員の場合、服務事故を起こさせないための指導は重要である。千葉県は、13年度に懲戒処分を受けた教員のうち、経験年数5年未満の教員の割合が多いことから、若手教員のための不祥事防止策に取り組み、事例集を作成した。このほかの自治体でも近年、若手教員を中心とした服務事故防止に関する取り組みを行っているところが増えている。その多くは教委主催の教員研修や校内で行う研修であるが、その方法にさまざまな工夫がみられる。体罰の防止についてアンガーマネジメントの手法を取り入れた研修の事例や、わいせつ行為防止について校内に児童生徒向けの相談窓口を開設したりアンケート調査を行ったりし、相談記録の点検やアンケートの集計を管理職が直接行う事例などである。

年齢や経験を問わず教育者には常に高い品格が求められている。教員採用以降だけでなく、大学の教職課程においても同じようなモラルアップの指導を積極的に実施することも必要だろう。教員の質の維持・向上は、もはや社会全体で行っていかなければならない状況に来ているのではないか。

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