独自の学力向上策を提起 お茶の水女子大の委託研究に注目

文科省が6月27日に開いた第6回全国的な学力調査に関する専門家会議の議事で、注目すべき報告があった。同省の委託で、お茶の水女子大学が実施した保護者に対する調査結果(2017年度全国学力・学習調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究)で、活用次第では、学力向上策に大きな影響を及ぼすだろう。

この調査研究は、▽2017年度全国学力・学習調査の追加調査として実施した「保護者に対する調査」の結果を活用し、家庭の社会経済的背景(SES)と学力の関係、13年度調査からの変動、学力に影響を与える学校・家庭・地域の取り組みなど、多様な観点から統計的に分析▽事例分析として、学校が置かれている社会経済的背景(SES)に比して、継続的に高い学力成果を上げている学校および成果を上げつつある学校の特徴も分析――という内容。

保護者に対する調査は、公立学校で本体調査を実施した児童生徒の保護者が対象で、有効回答数は小学校5万5167人(回答率91.7%)、中学校は6万7309人(同86.9%)だった。調査内容は、保護者の子供への接し方、教育についての考え方、子供が通っている学校の状況、家庭の状況。調査時期は2017年5月。

調査研究の項目は、①家庭の社会経済的背景と学力の関係②「非認知スキル」と子供の学力③不利な環境を克服している児童生徒の特徴④学校風土と子供の学力⑤家庭環境と子供の学力⑥事例分析――の6項目からなっている。

家庭の社会経済的背景と学力の関係では、▽SESが高い児童生徒の方が各教科の平均正答率が高い傾向にある▽SESが低い層で、より各教科の平均正答率のばらつきが大きい――などが判明。
②の「非認知スキル」(物事を最後までやり抜く力や挑戦する意欲)と子供の学力では、保護者の適切な働き掛けは、SESの高低にかかわらず、子供の「非認知スキル」を高める傾向があり、小学生でより強い影響があることが分かった。

③不利な環境を克服している児童生徒の特徴として、▽授業の復習を重視する傾向が強く、学校で習う内容の着実な定着を図る取り組みが高い学力水準の支えになっている▽塾などに過度に頼らなくとも一定の学習時間を確保しており、そのことが学力獲得に結びついている――ことも明らかにされた。

一方、過去5年間、継続的に成果を上げている学校を対象にした⑥事例分析で特徴的にみられた点として、▽家庭学習習慣の定着と家庭への啓発▽若手とベテランが学び合う同僚性と学校の組織的な取り組み▽小中一貫した学習の構え▽言語活動や学習規律などを重視した授業改善の推進▽地域や保護者との良好な関係を基盤とした積極的な地域との連携▽学力調査の分析・活用による児童・生徒一人一人の学力形成||を列挙している。

成果を上げつつある学校では、▽児童生徒が学びに向かうことのできる環境整備(例・新校舎落成、エアコンの導入)▽行政による条件整備(県と市からの各種教員加配)▽校長のリーダーシップ――を挙げている。

今回は、学力向上の要因をあらゆる角度から究明していることに特徴がある。画期的なのは、家庭の社会経済的背景と学力の関係に切り込んだことにある。各学校現場では、独自の実態把握とその対応策に取り組んでほしい。