夏休み中の子供の事故対策 教師は命を預かる職業である

今年の夏は、例年にない天候になりそうだ。関東地方における6月中の梅雨明け、西日本における集中豪雨、連日の猛暑日・真夏日など、7月の時点で気象観測上、記録に残るような状況となっている。それに伴い子供の事故が多く報告されている。各学校は夏休み中の子供の健康安全に関する対策に十分配慮する必要があるだろう。

とりわけ、夏休み中も学校の管理下にある部活動は要注意だ。通常は適度の休憩と水分補給を怠らなければ大きな事故に発展しないが、今年の夏の気候は予想をはるかに上回り、これまでの常識を超える状況が発生する可能性が高い。熱中症は過去に多くの死亡事故例があり、学校は、その予防に最善の対策を講じるべきである。

日本スポーツ振興センター(JSC)によると、1990年から2012年にかけての熱中症による死亡事故件数は80件あり、その大部分は7~8月の中・高等学校における運動部活動中で発生している。学年別でみると最も多いのが高1(39.1%)で、高2(24.6%)、中2(17.4%)と続く。競技別にみると、野球(27.5%)、ラグビー(14.5%)、剣道(11.6%)、サッカー(10.1%)となる。また、直前行動別(事故発生前の行動)でみると、ランニングやダッシュといった「走る運動」が最も多く、次に体力強化や技術向上のための「競技の練習」が続く。これらの結果についてJSCは、熱中症の発症は屋外の運動だけではないこと、野球においてはランニングやダッシュを取り入れた練習の多い初心者層に、ラグビーや剣道においては試合出場の機会の多いレギュラー層に多く発症例がみられると分析している。

熱中症から子供を守るには、▽環境条件に合わせた運動や水分補給を行う▽暑さに徐々に慣らす▽暑さに弱い体質、体力がない、肥満傾向など個々の子供の条件を考慮する▽服装に気を付ける▽具合が悪くなったら、早めに運動を中止し、涼しい場所に移動→水分補給→衣服を緩め、体を冷やす――|といった措置を施すことが大切である。症状が改善しない場合は救急車の要請をためわらずに行うべきである。

夏休み中の部活動の状況は管理職の目が届きにくく、部活動指導者も指導に熱がこもりがちだ。事故というのはこうした状況下で発生することが多い。管理職は夏休み中であってもできる限り細心の注意を払うべきだろう。例えば、環境省の「熱中症予防情報サイト」や各自治体で発信する「光化学スモッグ注意報」を2時間ごとにチェックする、35℃以上の環境下では屋内であっても活動の中止指示を出す。休み明けの練習や睡眠不足状態となっている子供の激しい運動は要注意だ。JSCは同センターで発行している「部活動チェック表(屋外・屋内用)」などの健康チェックシートを使って練習前にチェックをさせ、それを点検したのち練習を行わせるなど、状況に応じた的確な判断を管理職に求めている。事故が発生したときに責任を問われるのは管理職であることを再認識すべきであろう。

夏休み中は、全国中学校体育大会(全中)や全国高等学校総合体育大会(インターハイ)など、学校を離れ地域の代表として競技に臨む子供も多くいる。指導者や生徒引率者、大会主催者は生徒の安全第一に徹した大会運営を心掛けてほしい。中・高等学校時代の部活動は、心身とも成長期にある子供にとって生涯を通じて忘れられない経験となる。改めて教師は子供の命を預かる職業であることを肝に銘じてほしい。