起立性調整障害と不登校 正しい認識で重症化を防ぐ

多くの学校は間もなく2学期を迎える。2学期は4カ月近くあり、夏・秋・冬の3シーズンを過ごすことから、子供の体調管理に学校も家庭も十分な配慮が必要となる。また、この時期は不登校の数が増加する。「登校しぶり」も含め、1学期にその兆候がみられた子供に対しては、夏休み中に家庭訪問や教育相談の機会を設けたり、中・高校では部活動の参加を促したりと、担任は2学期に向けた準備・指導の必要があろう。その際、認識しておきたいのが「起立性調整障害(OD)」という病気だ。

ODは、10~16歳の思春期の子供にみられる自律神経機能不全の一種で、立ちくらみ、失神、朝起き不良、倦怠(けんたい)感、動悸(どうき)、頭痛などの症状がある。症状は特に午前中に出やすく、周囲からは「怠けている」と誤解を受けやすい。逆に夕刻から夜間は元気になり寝付きが悪くなる。重症化すると、不登校や引きこもり状態となり、学校生活への復帰を遠のかせることもあるという。

原因は、体を起こす際の自律神経の調整機能の不調と、交感神経と副交感神経のバランスの乱れだ。さらに、家族や学校からの登校を勧める声がストレスを生み病状を悪化させる。

現在、不登校の状態にある子供の3~4割はODを併存しているという日本小児心身医学会の報告もある。

ODが疑われる場合は専門医の診断を仰ぐことだ。治療法はさまざまで、薬物を用いるケースもあるが、先の日本小児心身医学会は日常の生活習慣の改善が大事だとしている。

例えば、①起立時は頭を下げた状態からゆっくりと体を起こす②静止状態の起立は1~2分以上続けない。短時間の起立でも足をクロスする③水分は1日1.5~2リットル、塩分は多めにとる④毎日30分程度歩行運動し筋力低下を防ぐ⑤眠くなくとも就床時刻が遅くならないようにする――などである。

そして最も重要なのは家族、学校の理解である。朝起きられない、夜遅くまで起きている子供の行動をとがめたり、無理やり起こそうとしても、本人のストレスを増加させ症状や親子関係を悪化させるだけで何のメリットもない。ODは病気であり、気持ちの持ちようだけでは治らないことを親子共々理解することが大切だ。学校は、できれば担当医から説明を聞く機会を保護者に設定してもらい、家庭との連絡方法や他の生徒への周知の可否、周知する場合の配慮事項など、対応について具体的な助言を求めておきたい。

不登校の子供が中学校3年生であれば進学問題も絡んでくる。都道府県によって入学要件や履修方法は異なるが、通信制高校や登校時間が朝・昼・夕と3部制になっている定時制高校など、生徒の状況に応じた学校を選択することも可能だ。担当医とも相談した上で判断するとよい。学校は年度始めに資料をそろえ、本人と保護者に情報提供する配慮を忘れないようにしたい。

専門医によれば、ODは軽症であれば2~3カ月、重症化すると2~3年かかる場合もあるが、必ず治癒する病気だという。早期発見が早期治癒につながる可能性は高い。不登校の子供の全てがODであるわけではないが、専門医の受診が解決の第一歩であろう。ODに対する認識不足が、不登校問題の解決を妨げる原因の一つとなっていることを、学校も社会も自覚するべきである。

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