養護教諭への期待 未来をたくましく生きる源づくり

養護教諭の悩み相談が新聞に寄せられていた(読売新聞7月25日)。「学校が養護教諭の仕事に対し、理解がありません。管理職から『生徒が来ないとひまでいいよね』と言われ、雑用をふられることもあります」とあった。今どきこのような管理職がいるのかとあきれる。回答者も「そうした方々は管理職としての適性を欠き、職員や保護者からの信頼を得ることはできません。そもそも、組織のトップとして専門職の職務内容を把握しているのか」と手厳しく指摘している。そのとおりであろう。

この管理職が養護教諭を、けがや体調不良の子供を一時的にみてくれるだけの「保健室の先生」と捉えているのであれば不見識極まりない。今日の養護教諭は保健室=学校の保健センターの経営者であり、学校保健の専門職としてチーム学校に欠かせない存在となっている。

「児童の養護をつかさどる」(学校教育法第37条12項)養護教諭の職務は多岐にわたる。学校保健情報の把握、学校保健計画の立案ならびに組織活動への参画、学校環境衛生の実施、個人・集団に対する保健指導、救急体制の整備および救急処置、健康診断・相談活動、保健室の管理・運営――などだ。健康診断において、保護者も気づいていないさまざまな疾病の状況を発見したり、虫歯や耳あかの状況、あざの跡から保護者の虐待を見抜いたりもする。保健室にたびたびやってくる子供の言動から、教師の指導上の課題や、いじめの兆候が浮かび上がることも少なくない。子供も話を聞いてほしかったり、逃げ場を求めて養護教諭の元を訪れる。保健室は不登校児童生徒の登校の居場所にもなっている。

さらに今日的な課題である、アレルギー、摂食障害、熱中症、薬物中毒、ノロウイルスなど感染症の対応とともに、正しい理解に資する指導や広報の充実に努めている。養護教諭の多くが、これらを扱う保健・保健分野や特別活動の授業に参画し成果を上げている。また、子供たちの保健委員会などの活動にも関わり、子供が保健で学んだことを生かして全校に健康の保持・増進の大切さや実行を呼び掛け活動する後押しもする。健康の保持・増進に関する理解不足からいろいろと意見や苦情を言ってくる保護者にも、丁寧に説明し対応するよう努めている。

文科省も児童生徒が抱えるさまざまな健康課題の解決について、養護教諭に大きな期待を寄せる。2017年3月に養護教諭をはじめ、全ての教職員が、学校医などの専門スタッフと連携する取り組みを示した「現代的健康課題を抱える子供たちへの支援―養護教諭の役割を中心として―」と題する参考資料をまとめている。

このように、養護教諭の働き・機能は年間を通して多彩かつ多重で負担も大きい。管理職は、こうした負担を養護教諭一人に押しつけるようなことがあってはならない。養護教諭が学校全体の保健リーダーとして機能し、その役割を果たせるよう、校内外の保健に関する組織編成や役割分担、協働、連携・協力のシステムを作り、専門性が発揮できるようにすることが責務である。

一方、養護教諭もチーム学校の一員、専門職として、全教職員に情報提供や報告・連絡・相談・記録を行い、子供たちの保健への意識向上と自立を育む指導・相談に努めてほしい。子供たちが未来をたくましく生きる力の源をつくることが養護教諭の仕事だ。誇りを持ってまい進されることを期待する。

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