オレオレ詐欺から子供を守れ 「受け子」で事件に巻き込まれる

夏休みが終わり、子供たちが学校に戻ってくるころだ。新しい学期を迎え、気持ち新たに学習や生活に向かっていく子供たちを、学校は全面的に支援してほしいと願う。

一方で不安要素もある。不登校など不適応を起こす子供や、夏休み中に友人関係が変わり非行に走る子供がこの時期に急増することだ。

特に昨今、非行に関し見過ごせない事態が発生している。中・高生を中心とした少年が、「オレオレ詐欺」をはじめとする特殊詐欺事件に関係する割合が増えているのだ。

警視庁の発表によると、今年上半期(1~6月)における特殊詐欺事件の検挙者は446人で、うち少年(14~19歳)が141人と全体の3割以上を占めている。前年同時期(16.6%)と比べても約2倍となっている。

特殊詐欺事件の全検挙者の半数は、だました被害者から現金を受け取る「受け子」であり、その大部分に少年が使われる。彼らが受け子となる経緯は、学校やアルバイト先の先輩から「簡単にお金が稼げるいい仕事がある」などと誘われるケースが多いという。

先輩やその仲間から、受け取る際の注意事項や警察官に職務質問された場合の答え方を指導され犯行に及ぶ。被害額の1割程度が成功報酬として支払われ、中には数百万円を手にする者もいるという。途中で逃げようとしても、先輩から財布や身分証を取り上げられているため、すぐに捕まり暴行を受ける。一度関わると抜け出せない仕組みになっているのだ。何回か犯行を重ねるうちに罪悪感が薄れていく者もいる。

近年の警察の取り組みや報道による認知が進んだことにより、特殊詐欺事件の件数や被害額は減少傾向にあるものの、先述のように逮捕されるのは組織の末端である少年が多い。彼らは指示を出す詐欺グループの上層部の名前や顔を知らないまま犯行に加担していく。

検挙・逮捕された場合の対応は事前に教えられており、それに従い供述すると結果的に少年が全て罪を背負うことになる。結局、少年たちだけが使い捨てられ、指示を出した上層部の人間には官憲の手が及ばないため、本質的な解決には程遠いのが現状だ。

一般的に少年は逮捕されても成人より処罰が軽いと言われているが、組織的に行われる特殊詐欺事件の場合、初犯でも少年院送致は免れない可能性が高い。少年院を出院しても、再び犯罪協力者として誘われたり、被害者からの賠償請求があったりと、更生しようとする気持ちをくじく環境がそろっており、特殊詐欺犯罪の持つ性質の深刻さが見える。

現在警視庁では、実際に特殊詐欺に関わり逮捕された少年たちの証言を収めたDVDを、全国の県警や自治体に提供している。学校は地元の警察署や教育委員会に要請して、子供たちにDVDを見せたり、警察官を講師とした防犯教室を開催したりと、特殊詐欺の恐ろしさを実感させるような取り組みを行うべきであろう。

また、夏休み中の生活に関するアンケート調査を実施し、結果を踏まえて教育相談や三者面談の機会を設け、少年たちを取り巻く状況を把握するのも効果的である。いずれにしても、学校は夏休み明けのこの時期、家庭や関係機関と協力しながら犯罪の芽を断ち切る努力をぜひ行ってほしいものだ。

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