実効性のあるカリキュラム・マネジメントに 用語の正しい理解を

新学習指導要領の総則において「カリキュラム・マネジメント」の言葉が用いられ、研修会や研究会、学会等においてこの用語を用いた取り組みが見られるようになった。学習指導要領では、第1章総則の「第1」「4」において、その三つの側面が示された。それは、編成に関わる側面と評価と改善に関わる側面、実施に係る諸条件の改善に関わる側面である。総則の「第5 学校運営上の留意事項」の「1」においても、校長の方針の下、教職員が適切に役割を分担・連携しながらカリキュラム・マネジメントを行うように努めることが明記された。

今後ともカリキュラム・マネジメントはさまざまな場面で用いられると想定される。その際、「カリキュラム」は教育課程を指すのか、それとも教科等の改善も指すのか、1単位時間の授業構成もカリキュラムなのかといった点が課題になる。研修会等で「カリキュラム・マネジメント」という言葉を使った場合、具体的にどのようなレベルの内容を指しているのかが共有されない限り、実質が伴わない研修になりかねない。

総則では、教育課程に関わることをカリキュラムと表しているが、本来「教育課程」は法令用語であり、「カリキュラム」は教育一般で用いられる用語である。前者は学校教育法、学校教育法施行規則の用語を受けて、学習指導要領で用いられている。今回、初めて「カリキュラム」の語を学習指導要領に記したことになる。

「カリキュラム」は、教育目標の実現に向けた教育内容の編成や実施に関して広く用いられてきた。学校教育においては教育課程を指したり、各教科等の指導計画を指したり、授業の構成を指したりした。やや研究的な観点から、クロスカリキュラムや経験カリキュラム、一貫性、系統性、スコープ、分科と総合などの用語も用いられてきた。

今後広く用いられるであろうカリキュラム・マネジメントをより有効なものにしていくためには、カリキュラムと教育課程の関係を含めて整理をしておくことが必要である。

教育課程は学習指導要領解説総則編において、「学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した各学校の教育計画」と説明されている。端的に言えば「学校の教育計画」である。次に指導計画は、各教科等の「それぞれについて、学年ごとあるいは学級ごとなどに、指導目標、指導内容、指導の順序、指導方法、使用教材、指導の時間配当等を定めたより具体的な計画」とされている。

指導計画には、その規模に応じて年間指導計画や学期、月、週、単位時間ごとの指導計画、また単元、題材、主題ごとの指導案が想定される。全体計画については、学校保健計画、学校安全計画、食に関する指導の全体計画その他を作成することとされている。道徳教育についても全体計画の作成が行われる。学校の教育計画としての教育課程は、各教科等の指導計画、全体計画が担っている。教育指導と学習の改善は、これらの教育課程を構成する諸要素ごとに行われる。カリキュラム・マネジメントを実質的なものにするには、教育課程を階層的に捉え、どの部分に着目して検討するかをあらかじめ了解しておくことが大切だ。さらに、各教科等の授業者の立場、教育課程を運営する教務の立場、教育課程全体の方針を定める校長の立場など、当事者を明確にした進め方が必要となる。

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