未成年者の飲酒・喫煙の根絶を 「子供を社会全体で育てる」使命忘れずに

厚生労働省が先日公表した2017年度の中高生の飲酒・喫煙実態調査の結果によると、酒を飲んだ経験のある中学生は16.2%(男子17.1%、女子15.3%)、高校生は29.4%(男子30.3%、女子28.5%)いることが判明した。また、紙巻きたばこを吸った経験のある中学生は2.6%(男子3.1%、女子2.1%)で、高校生は5.1%(男子6.9%、女子3.3%)であった。

8年前の12年度調査では飲酒経験が中学生36.3%、高校生53.9%、喫煙経験は中学生8.7%、高校生16.0%であったので、大幅に減少している。行政指導による自動販売機の規制や店頭販売での年齢確認、販売に関わる従業員研修の徹底に加え、マスコミの注意喚起、医療機関や保健所など関係機関による指導と、社会を挙げての取り組みが功を奏したといえよう。何より、学校における指導が最も効果的だったのではないか。

飲酒・喫煙が未成年者に与える影響は計り知れない。飲酒に関していえば、身体面では、成長期の脳の神経細胞を破壊し脳萎縮を早める危険があるほか、二次性徴に必要な性ホルモンに悪影響を与え、男性は生殖機能の低下、女性は生理不順や無月経を招くリスクがある。精神面では、集中力がなくなり学習意欲も減退、自暴自棄になりやすく非社会的、反社会的な行動をとる可能性が高くなる。一説では飲酒開始年齢が早いほどアルコール依存症になりやすい傾向にあるという。

喫煙については、青少年期から喫煙を始めた人は成人後に始めた人に比べ、がんや虚血性心疾患の発症率が高くなるといわれている。厚生労働省によれば、20歳未満で喫煙を始めた人の肺がん死亡率は非喫煙者の5.5倍である。

学校における飲酒・喫煙防止指導は、小学校の体育科(保健領域)、中・高校の保健体育科で扱うほか、警察署などとの連携で開催する薬物乱用防止教室でも行うところが増えている。覚せい剤に比べ安価で購入できる大麻や合成麻薬、危険ドラッグなどは中高生がターゲットにされる危険性が高いため、薬物乱用教室ではその引き金となる飲酒や喫煙の防止と合わせ指導することが多い。「社会に開かれた教育課程」を編成・実施する意味でも、こうした関係機関との連携による指導は有効である。

一方で、飲酒はいまだ地域によって「寛大」な考えを持つ傾向がある。そうした地域の住民に対する指導や飲酒防止の啓発活動も、警察や保健所を中心に推進していってもらいたいものだ。

15年6月に選挙年齢(公職選挙法・施行済み)が、今年6月に成人年齢(民法)がそれぞれ法改正により18歳に引き下げられたが、飲酒・喫煙年齢は現状維持となった(未成年者飲酒禁止法及び未成年者喫煙禁止法)。

先に述べたように、18、19歳は身体的にも精神的にもまだ成長過程にあるため、飲酒や喫煙で悪影響を受ける確率が高い。そうした意味で飲酒・喫煙年齢の現状維持は、日本社会の良識的判断として高く評価できる。

わが国には古くから「子供は社会全体で育てる」という意識がある。大森貝塚の発見で有名なE・モースをはじめ、かつて日本を訪れた外国人の多くがその様子に驚愕し記録に残している。われわれは誇るべきこの伝統を後代に伝えていく使命を決して忘れず、子供たちの健全育成に努めていくべきである。

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